おすすめサプリメント紹介:ダブルクロスThe 3rd-Edition

TRPGのシステムを何回か遊んで慣れてきたとき,さらにそのシステムを楽しく遊ぶためのアイテム.それがサプリメントです.

システムの追加ルールブック,データブックであるサプリメントですが,システムによってはかなりたくさんあったりします.

サプリメントは大体1冊につき数千円ほどするので,最初から全部買う,なんてのは無理があると思います.

 

そこで,私が独断と偏見で選んだそのシステムを遊ぶのに,特におすすめできるサプリメントを紹介しようと思います.

 

今回紹介するのは,ダブルクロス3rdサプリメントです.

ダブルクロス3rdは,FEARゲーの中でも人気のあるシステムで,サプリメントの発売も活発です.2009年から現在(2017年8月)までに,シナリオ集を除くサプリメントが10冊以上出てます.初心者の人は,どれを買えばいいか迷ってしまうでしょう.そこで,今回は,絶対に買っても損しない,おすすめのサプリメントをいくつか紹介したいと思います.

 

・「上級ルールブック」

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オススメ度:★★★★★

新しい追加ルールとして,キャラクターの特殊な背景や性質を示すDロイスに関するルールとそれに伴うユニークアイテムなどのデータ,ジャームのみが扱うEロイスなどが収録されています.

このDロイスというものは,自分のキャラクターをキャラ付けするのに一役買ってくれるだけではなく,Dロイスに応じた強力な効果を与えてくれます.

ダブルクロスというシステムの根幹を成しているロイスに関する追加ルールであり,これ一冊で遊び方やロールプレイ,キャラ作成の幅がグンと広がります.個人的には,基本ルールブック1,2と合わせて購入してもいいくらいの鉄板サプリメントです.

 

・エフェクトアーカイブ

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オススメ度:★★★★☆

ウロボロスを含めた全てのエフェクト(このサプリ発売後に追加されたものを除く)が掲載され,さらに追加ルールとしてメモリー,リミットエフェクト等が追加された一冊です.

キャラクター作成の時,複数のルールブックに渡って追加されている追加エフェクトを全部見ながらキャラクターを作るのはなかなか不便なもの,しかしこれを一冊持っていれば解決です.全てのエフェクトがこれ一冊にまとめられており,さらにエラッタ修正もされているのでキャラクター作成が非常に楽になります.後述する「インフィニティコード」で追加されたエフェクトやウロボロスのデータも全て掲載されているため,慣れている人ならこれ一冊でキャラ作成してしまえます.追加ルールも魅力的ですが,やはりキャラ作成の大部分を占めるエフェクトのデータが丸ごと1冊買うだけで済むというのは非常にお得です.

 

・リンゲージマインド

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オススメ度:★★★★☆

エフェクトアーカイブが全てのエフェクトを一まとめにしたものなら,こちらは全てのDロイスを一まとめにしたものです.追加ルールとして固定ロイスに関するルールの追加等が掲載されていますが,そっちはあまり使いません.

ステージ固有のものを含む,全てのDロイスが,上級での掲載から再調整された上で掲載されており,Dロイス由来のユニークアイテムや限定エフェクトのデータも全部乗っています.Dロイス関連に関していえば,これ一冊あればオーケー.上記のエフェクトアーカイブと併せて,キャラ作成の強力なお供です.

基本ルールブック+上級で何度か遊んでみた後,ダブルクロスというシステムが気に入ったならエフェクトアーカイブ+リンゲージマインドの2冊を併せて買うのがオススメです.

 

・レネゲイズアージ

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オススメ度:★★★☆☆

キャラクターの切り札となるアージエフェクトに関する追加ルールを収録.

アージエフェクトは,浸食値120以上で使用可能になる非常に強力なエフェクトです.キャラクター毎に1つだけ習得することができ,その発動条件のキツさと相応のコストに見合った強力な効果を持っています.俗にいう,切り札,必殺技のようなものです.

その性質上,初期作成のキャラクターや初心者が使うのは難しく,ある程度慣れてきた人がある程度成長したキャラクターを使って初めて取得するものです.ド派手な必殺技を演出する助けになりうるもので,ダブルクロスに慣れてきた人にはぜひオススメできる一冊です.

 

・インフィニティコード

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オススメ度:★★★☆☆

各シンドロームに対して追加エフェクト,さらに基本ルールブックにはなかった新しいシンドロームとして,「ウロボロス」のデータが掲載されていますが,これらは後発のエフェクトアーカイブに全部掲載されちゃってます.

それなのにこの本を買うのをオススメする理由は,追加ルールの「FS判定」です.

FS判定とは,ざっくり言ってしまえば,「次々と変わる状況に対して,その時ごとに適切な判定を行いながらシナリオを進めていく」という判定です.言葉で言うと分かりにくいですが,例えば様々なトラップが仕掛けられた敵のアジトを駆け抜けて入り口からボスの待つ部屋まで行く,という流れを1シーンで処理することが出来ます.しかも,判定は複数回に渡り,全員が均等に参加でき,一定の緊張感を持ちながら協力して障害を乗り越えるという,非常に盛り上がる判定となっています.GMをやる上では便利この上ないルールであり,プレイヤーをやるよりむしろGMをやる人にオススメしたい一冊です.

 

 

今回紹介するのは,以上になります.データ重視でオススメ度を付けてみましたが,サプリメントには追加ルールやデータの他にも,世界観の設定の追加や新規NPCのデータなど,シナリオを作ったり,世界観をさらに深く理解する助けとなったりするものも記載されており,単純な読み物としても楽しめます.

 

皆さんも,ぜひ色々なサプリメントを購入して,さらにダブルクロスを楽しみましょう!

オリジナルシナリオ集:クトゥルフ神話TRPGシナリオ「這いよるのは……」

今回紹介するのは,クトゥルフ神話TRPG用のオープンシナリオです.

オープンシナリオの為,PCはある程度自由に捜査をすることが出来ます.

管理するNPCの量やデータ量もクローズドと比べて増えるため,ある程度クトゥルフ神話TRPGに慣れたGM向けのシナリオとなっています.

また,(主にSANチェック方面で)難易度が少し高めのPC死亡率の高いシナリオとなっているため,実際に回す際は,適宜バランスを調整することを推奨します.

 

※シナリオ使用に関して

シナリオを使用するのに,特に許可や報告は必要ないです.

バンバン使っちゃって構いませんし,改変も自由です.

 

ただ,使用報告をコメントでしてもらうともれなくamidaのモチベが上がります.

 

クトゥルフ神話TRPGシナリオ

『這いよるのは…』

プレイ人数:3~6人(4~5人推奨)

プレイ時間:4~6時間(目安)

 

 

1.シナリオ概要
探索者はとある男性と女性の二人と関わりを持つことになる
その二人は何かに酷く怯えているようで……

 

真相
数年前、太平洋に隕石が落下してきた。その隕石には、ショゴス細胞と星の精の細胞が付着していた。
日本政府は秘密裏にこの生物を再生、研究していたが、ある日そのサンプルが一体ずつ脱走してしまう。
この2体の生物は最初は研究関係者に狙いを定め、狙った人物を殺害するとその人物の関係者に狙いを定める、
という風にして次々と人間を殺害していった。
そして、その何人目かの被害者となったのが綾里と高坂である。


2.NPC
綾里 仁(21)
大学二年生の男性
水の滴る音に非常に敏感に反応する。

高坂 千尋(22)
大学三年生の女性
常に当たりを見渡して落ち着きが無い

 

3.特別ルール
このシナリオ中に限り、探索者の「隠れる」技能の初期値をDEX×5とする。
また、隠れる技能を使用する場合、KPによる非公開ロールとし、
結果については出目によって以下のように処理する。

①クリティカル……自分も含め、その場にいる全員の結果を②と同様にできる。(ファンブルも含む)
②技能値の二分の一以下で成功……その場から動かない限り発見されることは無い。
③通常成功……相手が特に警戒をしていない場合は発見されない。
       こちらを見つけようと捜索中の場合、相手が目星に成功すると発見される。
④通常失敗……相手が警戒していなくても目星を振り、成功したら発見される。
       相手が警戒している場合は発見される。
ファンブル……同行者にクリティカルがいない場合確実に発見される

 


4.シナリオ
①導入
探索者は共通の友人である大学教授の芳川に呼ばれて集められる。
芳川の話
・自分のゼミ生のうち二人が最近自室に閉じこもって大学に顔を見せに来ていない。
・様子を見に行きたいが、担当教授である自分が直接行くのは大学の規則的に色々不味いので、代わりに
 様子を見てきてほしい
といって二人の住所を渡される。

学生の名前はそれぞれ綾里 仁と高坂 千尋であることが分かる。
芳川に詳しく二人について聞くと、二人とも真面目な生徒だったが、様子がおかしくなる直前に
綾里は叔父を、高坂は姉を亡くしていることが分かる。(このことは、二人の友人なども知っているが、
それ以上の詳しいことは警察でなければ分からない。)
また、綾里はアロマグッズを収集するのが趣味、高坂は人形を集めるのが趣味だとも聞ける。

②綾里の家
綾里の家に行くと、綾里は応対してくれるが、酷く何かに怯えており、
まともに会話が出来る精神状態ではない。
家の中は、ここ最近掃除がされていないだろうというくらいに荒れ放題である。
また、アロマの臭いが充満している。
また、水道の蛇口などの水場がガムテープで完全に封鎖されており、バスルームやトイレに至っては、
ガムテープで目張りがしてあって完全に塞がれている。
目星で部屋を詳しく調べるならば、アロマキャンドルや芳香剤などの臭い系グッズ
があることがわかる。
医学で調べれば、彼が極度の脱水症状に陥っていることが分かり、話を聞けば
とぎれとぎれだが以下のことが分かる。

・ここ最近は水なんか飲んでいない。
・少し前はホテルを泊まり歩いていたが、外にでるのも怖くなったので最近は家にいる。
・あのメールを受け取ってからおかしくなった。
彼のケイタイを見せてもらうと、「ハイシン カンリョウ  ユウジ→ジン」という
謎のメールを見つける。配信者は彼の叔父の綾里 雄二。
また、彼は極度に水を怖がり、水を飲ませようとすると激しく抵抗し、その場から逃げ出そうとする。
一連の事情を聴いても酷く怯えすぎていてまともな会話にならないが、水、怪物などの単語は分かる。

③高坂の家
高坂に家に行くと、応対してくれるが綾里と同じくまともな精神状態ではない。
部屋に入ると、部屋のいたるところには粉がまき散らされており、天井からはスズランテープと鈴が
部屋一面にぶら下げられており、一面がのれんのようになっている。
部屋について聞いても、奴がどこにいるか分かるからとしか答えない。
また、不審なメールを受け取ってからおかしくなったことも分かる。
メールの内容は「ハイシン カンリョウ アカネ→チヒロ」
送信者は彼の姉の高坂 茜
高坂は常にキョロキョロと辺りを落ち着きなく見渡している。
彼女も部屋から出るのを嫌がる。
また、彼女は笑い声に対して非常に敏感に反応し恐れる。
また、帰る時には危ないからと鈴を人数分押し付けられる。


④合流
二人の状況を芳川に報告すると、心配なのでしばらく気にかけてやってほしいと言われる。
もし天気予報を確認するならば明日の予報は雨であることが分かる。
特に何もなければ初日は終了。

探索者の中からランダムで水などに関係する描写をして怖がらせること。

⑤2日目
目を覚ますと、雨が降っている。
二人と連絡先を交換していたのならその探索者に、していないのなら芳川に二人から連絡が入る。
電話を取っても、無言電話であるが、よく聞けば二人とも息を殺しているような様子が伺える。
10秒ほどで電話は切れる。

 

⑤-1綾里家の襲撃
綾里家を訪ねると、ドアの鍵が開いている。
部屋の中に入ると、ソファの裏から手が伸びてきて引きずり込まれる。
引きずり込んだのは綾里で、ひどく怯えた様子で、助けてくれ、バケモノがとしか言わない。
部屋を注意深くみるならば、塞がれていたバスルームの扉が開放されており、奥からゴポゴポと
水が逆流してくる音がすることに気づく。
しばらく隠れていると、水の滴る音が聞こえ、やがて何かを引きずるような音が聞こえてくる。
さらに少しするとショゴスの触手が姿をあらわす。(1d3/1d10)

悪夢のような、黒っぽく玉虫色の臭くて伸縮性のある柱状のものが
にじみ出るようにして這い出てきた。体全体から微かな光を放つその
生物は、間違いなくこの世に存在してはならないものだ。

ショゴス
能力はルルブ準拠
押しつぶし 70% 8d6
目星30%
この場での探索者の隠れるは必ず成功する。
綾里だけが確定で発見される。
発見された綾里はパニックに陥り辺りのものを手当たり次第にショゴスに投げつけ始める。
その時、ショゴスが一瞬怯む。目星に成功すれば、アロマキャンドルを投げつけられた時に
ショゴスが怯んだことが分かる。(ショゴスの弱点は火と電気である)
一瞬怯むもののショゴスはそのままへたり込む綾里を触手で叩き潰す。(1/1d6)
その後ショゴスは近くの蛇口をむしり取り、そこに吸い込まれて消える。
そして、探索者のケイタイにメールが届く。
「ハイシン カンリョウ ジン→(探索者名)」

⑤-2高坂家の襲撃
高坂家を訪ねると、ドアの鍵は開いている。
中に入ると、右手の部屋から高坂が覗いており、呼ばれる。
やはりひどく怯えており、バケモノが来る、隠れてとしか言わない。
すぐに鈴の音がし、部屋中に張り巡らされたスズランテープの一部分が揺れ始め、まるでその場所に
何者かがいるかのように押しのけられる。そして、クスクスという笑い声が聞こえる。
イデアに成功すると、その場所には透明な何者かがいるということに気づく(0/1d3)
ここでの探索者の隠れるは必ず成功する。
高坂だけが確定で発見される。
高坂はその場にへたり込んでしまい、何者かに捕まれ、全身の血を吸われて息絶える。(1/1d6)
そして、その血を吸った生物が姿を現す。(1/1d10)

何もない空間に血が、まるで血管をとおっていくように広がっていく。
そして、しまいにはそれは生物の形を取った。
透明な体を持つその生物が自ら吸った血によりその姿を形作ったのだ。
脈動しうごめくゼリー状の塊、波打つ無数の触手の付いた胴体
触手の先端は口のよう器官が付随し、次の獲物を求めるように開閉を繰り返している。

星の精
ルルブ準拠
耐久20
カギづめ 40% 3d6
噛みつき 80% 2d6+吸血
吸血 毎ラウンド1d6のSTR吸引(STRは一日に1d3回復する)
目星30%
なお、星の精はステータス的に勝てない相手では無いので、万が一力づくで撃破されてしまった場合は
そのまま退場する。

しばらくすると星の精はまた透明となり、部屋から出ていき消える。
そして探索者にメールが届く
「ハイシン カンリョウ チヒロ→(探索者名)」

⑥探索開始
ここからは自由探索である。
以下の情報を妥当だと思われる場所で提示する。

・綾里は叔父である雄二を、高坂は姉である茜を最近亡くしている。
・二人の死は記録上は自然死となっており、警察のデータも揉み消されている。
・雄二と茜も死ぬ少し前に共通の知り合いを亡くしている。その知り合いは灰根 直樹という名前であり、
 二人の家まで行って遺品であるケイタイを直接調べれば、灰根から送られたメールを発見できる。

なお、探索中にランダムに(できれば人気の少ない場所で)ショゴスや星の精が近くに現れ、そのたびに隠れる
ことになる。もし発見された場合、毎ラウンドDEX×3か回避の半分を振り、成功すれば逃走可能である。
また、ショゴスに対しては弱点を突いた攻撃をすることで2ラウンド稼げる。
発見されるたびに1/1d6のSANチェック

また、探索中に水の音やクスクス笑いなどをの描写をして怖がらせてもよい。

⑦灰根の家
灰根の家は今は空き家となっている。
生前はサラリーマンであったと周囲の人からは聞ける。
なお、灰根の家を探索中にショゴスか星の精を登場させること。
灰根の家は二階建てであり、
一階に応接間と客間
二階に寝室と薬品庫がある。

・応接間は何かが暴れたように散乱している。
奥にクローゼットがあり、中には普通の服に交じって白衣が掛けられている。
白衣のポケットには注射銃が一丁入っている。
・客間にはベッドや絵がある。どちらもそれなりに高価なもので、一般的なサラリーマンが
 買えるようなものではないことが分かる(要技能)
・薬品庫には薬品棚がある。
棚を調べると、SAMPLE No.1と書かれた緑の溶液とSAMPLE No2と書かれた黄色の溶液がある。
二つの溶液はそれぞれ直径5㎝、長さ15㎝ほどの変わった形をした細長い容器に入っている。
イデアロールに成功すれば、注射銃に組み合わせて使うものだと分かる。
・寝室には日記がある。隅の方に丈夫そうなダイヤル式の金庫がある。

灰根の日記

○月×日
『あれ』の研究を始めて5年、ようやくその細胞の培養に成功した。
明らかにこれは地球上に存在するものではない。
もしかしなくてもこれは世紀の大発見というものに他ならないだろう。
惜しいのは、世間に公表できないということか。
アメリカやロシアなんかの大国に先んずるために日本が独断で秘密裏に研究を
進めている手前仕方ないのだが。
もし公表できるのならノーベル賞どころの騒ぎでは無いというのに。

△月○日
ついに例の細胞からそのもととなる生物の復元に成功した。
どちらも完全とは言い難いが、片方は液体生物、片方は透明化できる生物だ。
危険度が高いため、どちらも完璧な監視体制で隔離してある。
いくつかの簡単なテストを行ってみたところ、二つの生物に以下のことを確認した
・ある一定の標的に対してその標的を撃破するまで追跡する。
・探知能力にいささか難がある。

◇月×日
二つの生物についてのさらに詳しい実験結果が得られた。
ある程度まとまったデータが取れたのでレポートにまとめ、金庫に入れておくことにする。
金庫のナンバーは忘れないように写真立ての中に入れておくことにする。

写真立ては一階の応接間にある。(ここでショゴスなどを登場させるとGOOD)


金庫の中身

灰根のレポート

SAMPLE No.1
この生物は液体状の体を持つ。その体は未知の細胞で構成されており、
打撃、斬撃、銃撃にも耐える強靭な構造をしている。
知能は少なくとも標的を見分けて追い続けられるだけのものを備えている。
高温の炎や電気に対しては一定の拒否反応を見せる。
また、液体であるため自らの形を変えることで細い管や網目を通り抜けることもできる。

SAMPLE No.2
この生物は、不可視の肉体を持つ。
獲物に対してはかぎ爪のようなもので捕えたのち、その体液を吸引する。
体液を吸引後暫くは体液が見えたままの状態となるが、数分でその
体液を代謝させるため透明に戻る。
また、常に高音域の音を発しており、その音の反響を利用して周囲の状況を把握しているのでは
ないかという仮説を立てたが、耳に相当する機関が発見できないため、未だ調査中である。


総評
今回制作したSANPLE2体について、探知能力や知能にやや難が見られた。
今後兵器として転用するならば、この点について特にもっと高精度に再現する必要が
あると思われる。
今回のSAMPLEについてそれぞれに処分用の薬品を制作した。
SAMPLEを処分する必要のある場合は薬品を霧状にして隔離室に
散布するか、最悪の場合注射銃にて直接注射すること。
研究所の職員は全員処分用の薬品と注射銃を携帯しておくこと。
どの薬品をどのSAMPLEに使用するかは薬品のラベルを確認すること。

 


⑧最終決戦
探索者が合流したところで,星の精→ショゴスの順で最終決戦を行う.
星の精とショゴスは同時には出現しないものとし,探索者合流時に順番に出現させること.
ショゴスと星の精に対して、それぞれ対応する薬品を注射することができれば倒すことが出来る。
なお、最終決戦の時にはショゴスは全身を露わにする。(1d6/1d20)
注射銃は、至近距離まで近づき、こぶしを成功させればうまく注射することができるが、
至近距離まで近づく為に敵の攻撃を回避する必要がある。
ただし、ショゴスに関しては火や電気で怯ませれば1ラウンドは無防備になる。
また、星の精は不可視であるため、血を吸って姿を現していない限りは聞き耳を成功
させたうえで命中率は半分となる。

薬品を注入できた場合、星の精はそのまま消滅する。
ショゴスはひとしきり暴れるため、注射した人物は回避かDEX×5に成功しなければショゴス
最後の抵抗を受けてしまう(ダメージ3d6)

報酬
シナリオクリア
2d10
全員生還
2d6

システム紹介:コードレイヤード

今回紹介するシステムは,『コードレイヤード』です.

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TRPGの制作会社,F.E.A.Rさんが出しているシステムの一つで,簡単に言うと,

『荒廃した世界で過去の英霊と共に戦う』システムです.

 

もっと端的に言ってしまえば,GODEATERの世界観でFateごっこするシステムです.

 

世界観:

コードレイヤードの舞台となるのは,現代よりも100年ほど未来の世界です.

人類が制作した超高度AI『バベル』が,この星に人類は不要であると判断し人類に対して宣戦布告,人類VS機械の戦争が始まります.

国家の枠組みは消失し,都市のほとんどが廃墟となったものの,10年に渡る戦いの末になんとかバベルの機能を停止させ,人類は戦争にひとまず勝利します.

しかし,未だにバベルの遺した自律戦闘機械や人造人間は地上にはびこっており,人類は堅牢な壁を持つ都市クレイドルにこもって生活してます.

そんな中,バベルの使徒が徘徊する荒野に挑み,危険を排除して人類の居住可能領域を拡大するため戦っている戦士が,レイヤードと呼ばれる存在です.

PCは,このレイヤードとなってバベルの使徒(ベクター)と戦うことになります.

 

レイヤード:

レイヤードとは,コードと呼ばれるプログラムを用いて特殊な力を操る人間のことを指します.

コードとは,バベルが戦闘兵器を自律制御するために開発した仮想精神プログラムで,過去の英雄や想像上の怪物をモデルにしています.

例えば,宮本武蔵卑弥呼ケルベロスなどです.

モデルとなった存在の持つ力と人格を模しており,コードを扱うことでその力を行使することが出来ます.

現在は人間もコードを利用できるようになっており,レイヤードは自分の意思とコードを共鳴させることで,コードをレイヤー(武装)として具現化し,様々な超常的な現象を引き起こすことが出来ます.

 

レイヤードは,基本的にレギオンという組織に所属しています.

レギオンは,レイヤードを管理する組織で,世界中に点在しているクレイドルにそれぞれ支部を持っています.適性のある人間にコードを与えてレイヤードとして覚醒させたりする他,各地にレイヤードを派遣してベクター退治や人命救助,未踏破地域の探索などの任務をこなしています.ダブルクロスで言うところのUGNのようなものです.

 

コードをどの様に発現するかはレイヤードによって千差万別ですが,現在は以下の8種類のクラスに大別されています.

 

アームズ:レイヤーを武器として実体化して戦うクラスです.例えば,宮本武蔵のコードを二振りの日本刀として具現化して戦う,等が行えます.

ヴェール:レイヤーを防具や装飾品として実体化するクラスです.例えば,ドラキュラの力をもつマントを具現化する,等が行えます.

センチネル:コードそのものの姿を自律型のユニットとして実体化して戦うクラスです.例えば,ケルベロスを具現化して共に戦う等が行えます.ペルソナシリーズをイメージするのが一番分かりやすいと思います.

マージ:コードの力と一体化し,自身の肉体でコードの力を行使して戦うクラスです.例えば,巨人タイタンの力を身に宿して剛力を身に付ける,等が行えます.

シャドウ:コードを影や炎等の不定形のものとして実体化するクラスです.例えば,ドラゴンの炎を発現し,自分に纏わせる,等が行えます.

----↓ここから追加サプリメントで追加されたクラス----

リベレーター:バベルによって人類を滅ぼすために作られた人造人間,エンフォーサーが改心してレイヤードとなったクラスです.他のレイヤードとは違い,コードを宿した状態で生まれ,様々な力を行使することが出来ます.

レガリア:バベルによって作成された,意思を持つ道具です.しゃべる剣,しゃべる鎧のようなキャラクターで,他のレイヤードに装備してもらったり,力を持たない一般人に自分を使わせることで戦います.

インテレクト:人間ではなく,動物がコードに適合した結果,一定の知性を獲得したクラスです.

 

キャラ作成:

PCはレイヤードとなる訳ですが,どのようなレイヤードとなるかは3つのスタイルクラス,および8つのレイヤークラスから一つずつ選択することで決まります.

スタイルクラスは,単体攻撃特化のブレイカー,範囲攻撃やカバーリング等のダメージコントールに長けたチェッカー,味方の支援に長けたサポーターの3種です.

 

スタイルクラスから1つ,上記のレイヤークラスから1つ選んだら,自分の宿すコードを選択します.コードは,数十種類用意されており,宮本武蔵卑弥呼等の過去の偉人,シャーロックホームズ等の創作上の人物,ドラゴンやケルベロス等想像上の怪物等がいます.コードには能力値の他,そのコードの特徴を表す特技が設定されています.

 

スタイルクラス,レイヤークラス,コードを選択したら,複数の技能,自由取得特技を選択して習得し,キャラ作成が完了します.

 

特徴:

コードレイヤードは,基本的にダブルクロス等と同様にシーン制で進行します.

シーン制とは,オープニング,ミドルフェイズ1,ミドルフェイズ2…といった形で話が一区切り着くごとに一旦シーンを切って場面を転換させていく,というのを繰り返していく進め方のことを指します.

 

その時その時のシーンに自分のキャラを登場させるかどうかは,基本プレイヤーの自由です.(もちろんシナリオの都合で絶対でなければいけないシーンや,逆に出ることが出来ないシーンもあります.そこはGM次第です)

 

判定について:

このゲームで使用するダイスは10面ダイスです.

行為判定ごとに,達成値を出し,達成値が目標値以上なら成功となります.

達成値は,振った10面ダイスのうち,6以下の出目の個数となります.

例えば,10面ダイスを4個振って,「2,5,8,9」と出たら,達成値は2となります.

ただし,1の目が出た場合はクリティカルとして扱い,1の出目一つにつき達成値2として数えます.

例えば,10面ダイスを4つ振って,「1,3,7,9」と出たら,達成値は3となります.

 

プレイ感:

いわゆる,F.E.A.R系のデータ組みゲーで,ダブルクロスにかなり近いプレイ感になっています.世界観設定は違えど,基本的には,超能力者となって正義の組織に所属し,敵を倒すという流れは同じです.

 ダブルクロスをプレイ済の人ならすんなり入れると思います.

ダブルクロスを未プレイの方でも,やることが分かりやすいため,サンプルキャラ等を利用すれば非常に簡単に遊ぶことができます.

判定も慣れれば非常に分かりやすく,戸惑うことはないでしょう.

ダブルクロスにない要素としては,やはりコードを軸にしたキャラ作成です.

過去の偉人の逸話を模した力を使ったり,コードそのものを召喚してFateごっこしたりと色々遊べます.

 

長短所:

長所……

・コードを用いたFateごっこ,ペルソナごっこが出来る.

・振り切ってしまえばロールプレイもしやすく,シナリオ構造も複雑になりにくいので割と初心者向け

 

短所……

・キャラ作成時のデータ組みにそこそこ時間がかかる

・推理やとんちで場を切り抜けたりといった要素は少ない

F.E.A.Rゲーよろしく,戦闘システムが少々複雑

・比較的新しいシステムなので,サプリメントがまだ少ない(現在基本,上級のみ)

 

プレイした感じは,安定のF.E.A.Rゲーという感じでした.

最初はFateごっこに特化したシステムかと思っていましたが,以外とコードの取りうる形の幅が広く,様々なキャラを作ることが出来ます.

F.E.A.Rゲー入門としてもおすすめのシステムだと思います.

まだまだサプリが少ないので,もっと盛り上がって追加サプリが出てほしいです.

GM入門:オリジナルシナリオを作成してみよう(クトゥルフ編)②『シナリオの骨組みを決める』

前回で,シナリオの根幹にあたる2つの要素を決定しました.

 

  • オープン/クローズド→クローズド
  • 登場する神話生物→ティンダロスの猟犬

 

ここからは,この要素から,シナリオの骨組み部分を決めていきます.

シナリオの骨組みは,おおざっぱに分ければ次のようになるでしょう.

 

  1. シナリオの導入部分をどうするか
  2. 探索者に迫る脅威はどのようなものか
  3. シナリオの解決方法(クリア条件)はどうするか
  4. シナリオの真相(発生した原因)は何だったか

これらを決めるために,まず神話生物の情報を整理しましょう.

今回使用する,『ティンダロスの猟犬』の特徴は以下のようにまとめられます.

 

『ティンダロスの猟犬』

・猟犬と名は付いているが,姿かたちは不明

 

・時間の番人で,時に干渉するような行為(過去や未来の世界を覗き見る,時間旅行する)などの行為を絶対に許さない.それらの行為を行うと,即座に反応して行った対象を狩りにやってくる.

 

・物理法則を無視して,部屋の隅などの鋭角(90°以上の角)からワープして出現することが出来る.出現する際は,煙のようなものが発生する.

 

・獲物には,前脚で攻撃する他,舌を対象に突き刺して攻撃する.舌を刺された場合,肉体的なダメージは受けないが,精神力(POW)の能力値を永続的に吸われてしまう.舌を刺された後には,深い穴のような傷が残る.

 

 

この,ティンダロスの猟犬にまつわる事件に探索者が巻き込まれる訳です.ティンダロスの行動原理は分かりやすく,「時間を侵すものに反応して襲い掛かってくる」です.

そこで,今回は,『探索者達がうっかり過去を覗き見ることが出来るアーティファクトを除いてしまい,ティンダロスの猟犬に目を付けられる』といったあらすじのシナリオで行こうと思います.

 

このように,神話生物の特徴から,シナリオの大まかなあらすじを決めると,後の骨組みを作る際に非常に作りやすいです.

 

さて,ここからシナリオの骨組みを作っていくわけですが,ここから先の4要素の決定はどれから先にやっても構いません.どの要素から決めていくのが作りやすいかは人によってバラバラです.

 

今回の例では,アミダが普段作りやすいと思っている順番で作っていきます.

 

①シナリオの導入を決定する.

シナリオの導入部分,、プレイヤーが初めて探索者を操作する場面です.

探索者ごとに別々の演出をしてシナリオの舞台で合流させる,という方法もありますが,今回は初心者向けということで,クローズドの鉄板導入,

 

『気が付いたら知らない部屋で目覚めた』

 

で行こうと思います.

全員が同じ部屋で目覚めれば合流させる手間も舞台に連れてくる手間も省けるので色々楽です.

 

②探索者に迫る脅威はどうするか.

クトゥルフのシナリオである以上,探索者は神話生物やアーティファクトによって危険にさらされます.シナリオ中で,探索者に襲い掛かる障害がどのようなものかを決めましょう.

 

今回は分かりやすく,ティンダロスの猟犬が探索者に直接襲い掛かって来る,という脅威にします.

 

③シナリオの解決方法(クリア条件)はどうするか.

最終的に探索者がどのような目的を達成すればシナリオクリアになるのか,またそれを達成するにはどのような方法を取らせるか,を決定しましょう.

 

今回の探索者の目標は,「ティンダロスの猟犬」の撃退にします.

ティンダロスの猟犬は,どこに隠れてもワープして追ってくるため,その場所から逃げてシナリオクリア…というとは少々無理があります.完全に殺すことも難しいため,ティンダロスの猟犬を撃退すればシナリオクリア…というふうにしました.

 

ただし,まともに戦って勝てる相手ではないため,探索者がティンダロスの猟犬を倒すための何かかしらの手段を用意してやる必要はあるでしょう.まあ,それについてはおいおい決めていきます.

 

④シナリオの真相

今回のシナリオがなぜ起こってしまったのか,という部分を決めておきましょう.これを決めないままシナリオ作成を進めてしまうと,導入や結末の部分で矛盾や不明点が多くなり,もやもやとしたはっきりしないシナリオになってしまいます.ただし,その全てをシナリオ上で語る必要はありません.シナリオが終わった後にプレイヤーに真相をネタバレしていく感じでも特に問題はないです.

 

今回のシナリオでは,まずティンダロスの猟犬が出現した理由を決めましょう.

 

探索者が狙われる理由は,「過去を覗き見ることのできるアーティファクトを探索者がうっかり覗いてしまったから」にしておきます.

 

ここで,導入部分の「気が付いたら知らない部屋で目覚めた」のはなぜかという疑問が生まれます.ここは,ティンダロスの猟犬の特徴の一つ,「獲物に舌を突き刺して精神力を吸う」というのを使いましょう.

 

「探索者たちは,アーティファクトを見てしまったため,ティンダロスの猟犬に襲われて精神力を吸われてしまった.そのショックと精神力を吸われた影響で気を失い,今朝起きてから今までの記憶を失ってしまった」

 

と,このような感じで真相と導入を繋げます.

 

他に生まれる疑問としては,「なぜ探索者はそのようなアーティファクトを見ることになったのか」,「そもそもなぜそのようなアーティファクトがその場所にあったのか」

といったところでしょうか.

 

アーティファクトがあった理由としては,「骨董品好きの裕福な老人が自分の屋敷にコレクションしていた物品の一つがたまたまアーティファクトだった」

 

探索者がそれを見ることになった理由としては,「探索者は全員,その老人の遠縁の親戚にあたり,偶然近くに住んでいたため,遺産相続の関係で屋敷の下見に呼ばれた」

 

とまあ,こんなところでしょうか.

これくらい決めておけば,シナリオ中で矛盾点やどう考えても繋がらないような点はなくなると思います.

 

このような真相,バックグラウンド決めというのは慣れないうちは何を決めればよいのか迷いがちですが,シナリオを作成していくうちに,「なんかここの辻褄が合わない」という場所が出てきたときに,辻褄が合うように決めていくといいと思います.

 

 

さて,これで,シナリオの骨組みが完成したので,いよいよ次回からシナリオに肉付けを行っていきたいと思います.

GM入門:オリジナルシナリオを作成してみよう(クトゥルフ編)①『初めに決めるべきこと』

今回は,クトゥルフ神話TRPGで,初めてGMをする,または何度かGMはしたけど自分オリジナルのシナリオを作ってみたい,という人向けにCOCのシナリオの作り方の手引きのようなものを書いていきたいと思います.

 

まず初めに断っておくと,今から紹介するシナリオの作り方は絶対ではありません

シナリオの作り方は,それこそ人それぞれで,自分に合った方法というものがあります.

 

今回は,初心者の方でも比較的作りやすいであろう方法を紹介するつもりですが,自分に合った作り方を見つけたらそちらに切り替えていくのもいいと思います.

 

 

『初めに決めるべきこと』

 

シナリオを作る上でまず初めに決めるべきなのは2つ

・クローズドかオープンか

・出現する神話生物

この2点です.

特に,クローズドかオープンかはシナリオを作る際,最優先で決めるべき事柄です.では,「クローズド」と「オープン」とは一体何なのでしょうか?

 

・「クローズド」/「オープン」

 

「クローズド」とは,簡単に言うと「探索者が自由に行動できないシナリオ」という意味です.もう少し具体的に言うと,目が覚めたら知らない部屋だった館に来たら閉じ込められ出られなくなった,などの探索者が一定の空間に閉じ込められてしまう系のシナリオということです.クローズドシナリオの場合,探索者の行動範囲はシナリオで決められた部屋のみです.閉じ込められてしまった探索者は(基本的には)自分たちの動ける範囲を探索しながらなんとかして脱出することを目指すことになります.

 

「オープン」とは,簡単に言うと「探索者がある程度自由に行動できるシナリオ」という意味です.具体的には,夜の学校に怪物が出るという噂が流行っているので調査をする新興宗教の教団が謎の儀式を行っているから調査をする,といった感じに探索者は学校や街といったある程度普通に人がいるような場所でシナリオを進めていくことになります.

 

それぞれのシナリオ形態のメリットとデメリットは以下のような感じです.

「クローズド」

メリット:

・探索者の行動がある程度予測しやすい.

・高い密度の神話体験が出来る.

・探索者がやることを見失いにくい.

デメリット:

・話のスケールが小さくなりがち

・交渉や説得等,一部の対人技能が腐りやすい

 

「オープン」

メリット:

・大がかりなシナリオを作成できる.

・探索やシナリオ作成の自由度が高い

・日常に潜む恐怖,という部分を表現しやすい.

デメリット:

・探索者の行動が予測しにくい

・誘導が不十分だと探索が行き詰りやすい

NPC管理が大変

 

大まかに言えば,「クローズド」は小さく纏まったシナリオに向いており比較的回しやすい,「オープン」は大がかりなシナリオに向いており少し回す難易度が高い,といった感じです.

始めてシナリオを作るならば,とりあえず「クローズド」を作ってみるのがよいでしょう.

 

・神話生物について

クトゥルフ神話TRPGに欠かせないのが神話生物の存在です.

 

神話生物は,探索者にとっての直接的な障害であり脅威です.

 

神話生物と一括りに行っても,様々なクリーチャーがいます.行動原理なども違うため,どんな神話生物を出すかがそのままそのシナリオのメインテーマとなることが多いです.

 

神話生物をシナリオ上での役割で分けると「奉仕種族級」,「中型クリーチャー級」,「神格級」の3種類います.

 

「奉仕種族級」

例:食人鬼(グール),ビヤーキー

平均SANチェック:0/1d6

奉仕種族級は,神話生物の中では最も危険度の低いクリーチャーです.といっても並みの探索者が1対1で勝つのは厳しい程度には脅威です.戦闘が得意な探索者なら1対1でもなんとか,そうでないなら複数人で戦えば倒せる……くらいの強さです.彼らをシナリオのメインテーマとするには少々力不足,シナリオの脇役として出すのがよいでしょう.

シナリオ上,絶対に避けられない戦闘を入れる際は彼らを相手にするのがよいでしょう.逆に言えば,奉仕種族級以外と探索者をガチンコバトルさせるのは止めたほうが無難です.

 

「中型クリーチャー級」

例:ティンダロスの番犬,ショゴス

平均SANチェック:1/1d10、1d3/1d20

中型クリーチャー級は,シナリオの主軸足りえる神話生物たちです.

特殊な能力を持っていたりするものも多く,探索者がまともに戦って勝つのは不可能に近いでしょう.シナリオ中で用意された解決法を使って万全の準備をしたうえでようやく……といった相手です.

シナリオ中での役割は,主に「シナリオボス」といったものでしょうか.彼らをシナリオのメインに据えて,そのクリーチャーの撃破や撃退をシナリオ目的とするのがクローズドシナリオの鉄板構成です.

 

「神格級」

例:クトゥルフニャルラトホテプ,クトゥグア

平均SANチェック:1d10/1d100

神格級はクトゥルフ神話TRPGの顔であり,有名どころも多いです.しかし,シナリオを作る上ではとても扱い辛い存在でもあります.なぜかというと,単純に強すぎるからです.神格級は指先で惑星を消し去れるような化け物ばかり,ただの人間にすぎない探索者が立ち向かうには余りに強大すぎる相手です.基本的に対立=死を意味します.当然探索者がいくら武道の達人でも勝負になりません.それどころか見ただけでほぼ発狂すると考えれば,まともにシナリオに出すのは難しいということがわかると思います.

 

では,彼らのシナリオ上での役割は何か?

 

神格級のシナリオ上での役割は,主に「敵側の最終目標」です.例えば,邪神を崇めている教団がクトゥルフを召喚するための儀式を行おうとしているから阻止しなければならない……といったように,探索者と対立する敵が召喚しようとしている存在、くらいの扱いです.召喚されてしまえば基本ゲームオーバー,そういう存在です. 

 

なお,人間に積極的に絡んでくるニャルラトホテプやチャウグナーフォンなどの例外も多数いたりします.

 

 

このように,クリーチャーにはそれぞれシナリオ上での役割があります.

クローズドシナリオを作る上では,基本中型クリーチャーから1体を選び,そのクリーチャーをシナリオの主軸として据えるのがよいでしょう

あまり何種類もクリーチャーを出してしまうと,シナリオの軸がぶれてよく分からないカオスなシナリオになってしまいがちなので注意が必要です.

 

 

今回は,シナリオを作る手順を分かりやすくするために,説明しながら1つオリジナルのシナリオを作っていきたいと思います.

 

 まずシナリオの形式は初心者でも作りやすく回しやすい「クローズド」,メインとなる神話生物は中型クリーチャーの「ティンダロスの猟犬」としました.

次回からは,今回決めたシナリオの軸を元にシナリオの枠組みを作っていきます.

 

GM入門:オリジナルシナリオを作成してみよう(クトゥルフ編)②『シナリオの骨組みを決める』 - AmidaのTRPG研究所

オリジナルシナリオ集:サタスペシナリオ「ガイアの夜明け」

今回紹介するシナリオはサタスペのオリジナルシナリオ,「ガイアの夜明け」です.

コンセプトは、サタスペで怪盗ルパン三世ごっこがしたい…まあそんなとこです.

難易度は一応初期作成か1回成長の亜侠チームでどうにかなるくらいのはずですが,ボスの数やデータ,各判定の難易度等に手を入れればある程度成長済の亜侠チームでも楽しめます.

ただし運が悪いと速攻で臭い飯表を振ることになるのでご注意を

 

※シナリオ使用に関して

シナリオを使用するのに,特に許可や報告は必要ないです.

バンバン使っちゃって構いませんし,改変も自由です.

 

ただ,使用報告をコメントでしてもらうともれなくamidaのモチベが上がります.

 

 

 

サタスペシナリオ「ガイアの夜明け

推奨プレイ人数:4~6人
初期作成~1回成長向け
使用サプリ:基本、ロケット推奨(デッドマン,スぺスぺ,鉄火場は要望があれば可)


1シナリオ概要
亜侠たちのもとへ一人の男が依頼に訪れる。
彼は怪盗になりたての青年。
計画を立てるのは得意だったが実行するのに自信が無く、今回亜侠たちに計画の実行役を依頼しに来たのだ。
亜侠たちは無事怪盗の計画通りに宝石を盗み出すことができるのか。


2.シナリオ
①導入
亜侠たちがジェイルハウスの一室にたむろしていると、一人の男が訪れる。
彼は自らを『怪盗・キング』と名乗る。
彼は怪盗になりたてで、まだ実績は無い。
彼は犯行計画を立てるのは自信があったが実行するのに自信は無かった。
そこで、今回は亜侠たちに計画の実行役を頼みに来たのだ。

なお、報酬は一人につき札束2つである(吊り上げ交渉可)。亜侠たちが依頼を受けるのなら、前金として札束2つを貰える(報酬とは別)。また彼は詳しい話をしてくれる。

ターゲットは500カラットもの大きさを誇る世界最大級のダイアモンド『ガイアの夜明け

2日後の夜まで官庁街にあるミカドホテルにて展示されている。当然警備は超厳重である。

 

キングはまず彼らに計画を立てるのに必要な情報収集を依頼する。
必要な情報は
・ホテル内部を詳しい内装、間取り   SL2ハイソor旅行
・展示室内部の警備システムについて  SL3 ハイソorマニア
・計画当日の警備体制や人員などについて SL3 おせっかいorサビシガリヤ
の三つである。
全ての情報を集める必要は無いが、情報を集めるだけ計画の実行が容易になる。

情報収集は一括で行える。

②自由行動
計画の実行は2日目の夜(導入時は1日目の朝とする)
それまでに亜侠達は情報収集や装備調達等,自由に準備を行える.

情報の内容
・ホテルの内装について
展示室はホテル最上階にある。屋上は防弾ガラス張りになっており、侵入は不可能。
通常のエレベーターでは展示室に行くことはできず、展示室直通の専用エレベーターに乗っていく必要がある。このエレベーターは専用のカードキーが無いと動かず、カードキーはフロントに一つ、警備室に予備のものが一つある。

・展示室内部の警備システムについて
展示室の内部は夜間はセキュリティモードに移行する。
このモード中は展示室内部を無数の赤外線センサー、温度センサー、振動感知センサー、重量感知センサーが監視しており、少しでも異常を感知するとたちまち警報が鳴り、警備の人間が駆けつける。
セキュリティモードの切り替えは警備室にて行う。

展示ケースには最高性能の強化ガラスで覆われており、たとえロケランを打ち込んでも耐えるほどの強度がある。開くには、警備主任の網膜データ、指紋データ、音声データを認識させる必要がある。

警備体制について
警備に関しては大阪市警から人員が裂かれている。
日中は展示室に常に数人の警備員が常駐しており、盗難は不可能。夜間になると、警備システムをセキュリテモードに切り替え、展示室内は無人になる。警備員はホテルの一階にある警備室に詰めている。警備室の様子はフロントにあるモニターにて確認可能である。展示室のすぐ横には当直室があり、毎日一人の警備員が徹夜で監視カメラを見張る。計画当日の担当はマリア・ヴィスコンティである。彼女は今回の仕事に乗り気ではなく、かなり愚痴をこぼしていたので、場合によっては当日の当直をサボらせることができるかもしれない。


③極東犯罪モンキーズ
情報を一つ抜くと、自分たちのほかにも『ガイアの夜明け』を狙っている亜侠のチームがいるらしいという噂を聞ける。彼らについての詳しい情報を知りたければ、情報収集することができる。

ライバルの亜侠チームについて
SL2 ファッション・ゴシップ
SL3 ファッション・ゴシップ


SL2の情報
ガイアの夜明けを狙っている亜侠チームは『極東犯罪モンキーズ』という名前のチームらしい。なかなかの腕利きで、3人のチームである。


SL3の情報
構成員3人の素性

リーダー
キンテ・三十郎
チームのリーダーを務めるアフリカ系の黒人。
見た目はふざけているがなんでもそつなくこなす

荒事屋
ドラッケン
チームの荒事屋を務める国籍不明の大柄な男
銃火器や近接武器などを使いこなし戦場を駆ける達人。

技術屋
セルゲイ・ウィスキー
チームの技術屋を務めるロシア人の男性
元コンビナートで一時期は暗殺者をしていた時期もあった.

④計画準備
・マリア・ヴィスコンティ大阪市警に行けば会える,
計画当日に女の子をあてがうなどの方法で警備をサボらせることができる。また,PCに女性がいる場合,マリアに会いに行き難易度10の恋愛判定に成功すれば同様に当日サボってくれる.ただし,その場合そのPCはトラウマを1点受ける.
・基本的に情報を集めさえすればキングが侵入するために必要なものをそろえてくれる。

⑤決行直前
2日目の夜になったらキングから計画を発表される。

計画について
まず、全員に離れていても通話可能な小型トランシーバーが配られる。
フェイズ①
キングは逃走用の車をホテルの外の道路に待機させておく。亜侠たちは展示室に向かう組(A)と警備室に向かう組(B)に分かれる。
Aはフロントにて待機する。
Bは警備室に向かう。
警備室には二人の警備員が詰めているはずなので、襲い掛かって無力化する。警備室で予備のカードキーを確保し、セキュリティモードを解除する。また、カメラに細工してフロントから警備室の様子を探られないようにする。
Aはその間フロントの気を引いて異変に気付かれないようにする。
BはAにカードキーを渡し、警備室に戻って待機する。
Aはカードキーを使ってエレベーターに乗り、展示室に向かう。

フェイズ②
展示室では、あらかじめ用意しておいた警備担当の網膜コンタクト、指紋手袋、声を録音したテープレコーダーを使ってボックスを開き、ガイアの夜明けを取り出す。
フェイズ③
何食わぬ顔でホテルを後にする。

⑤作戦決行
作戦における特別ルール
特殊ルールとしてアラート値を導入する。
作戦中のさまざまな場面において失敗するとアラート値が上昇してゆき、10になると犯行がバレて全員逮捕されてしまう。その場合はシナリオ失敗となり、全員がくさい飯表を一回振る。

ホテル内を移動する際、ホテル遭遇表を移動のたびに振る必要がある。
アラート値が増える際、警備室にて犯罪か教養の/11判定に成功すれば上昇するアラート値を1減らせる。
フェイズ①
Bチームが警備室に行き、警備員を無力化する。
判定は戦闘/8 失敗でアラート値が1d3上昇
警備員を無力化したらカードキーをゲット。
セキュリティモードの解除とカメラへの細工をする
判定は教養/8 失敗でアラート値が1上昇
Aチームはフロントにて気を引く。
Bチームが一回判定するたびに判定。
ただしロールプレイでGMが納得する気の引き方が出来れば免除
判定は犯罪/8 失敗でアラート値が1上昇

フェイズ②
Aチームは展示室に行く。
この際、マリアがいる場合は肉体/10の判定をする必要がある。失敗でアラート値が1上昇
展示室では網膜、指紋、テープそれぞれについて判定を行う。
判定は精神/7
失敗でアラート値が1d3上昇
最後に宝石を慎重に取り出す。
判定は犯罪/10
失敗でアラート値が1d3上昇

フェイズ③
脱出しようとすると、展示室の床の一部がいきなり持ち上がり、極東犯罪モンキーズが現れる。
彼らはガイアの夜明けを指さして、「それは俺たちの獲物だ、悪いがいただくぜ」と言い放つ。
同時に、背後に忍び寄っていたロシア人の男性がガイアの夜明けをかすめ取り、彼らは穴の中に去る。
同時に彼らの逃げた先が爆発して追いかけられなくなる。

爆発によって警報が鳴る。
急いで脱出すると警察が追いかけてくる。
警察(データは幽霊自動車、精神5)とケチャップを開始する。開始位置はゼロ距離/中距離とする
逃げ切ると、そのまま極東犯罪モンキーズとのケチャップに移行。開始位置はゼロ距離/中距離とする
追いついたら戦闘になり、勝利すればシナリオクリア。

報酬 全員に札束2つ アラート値が5以下ならさらにランダムな趣味お宝を1つくれる.

 


ホテル遭遇表

2…最悪の事態。警報装置に引っかかり盛大に鳴らす。
  犯罪/10の判定を1人が代表で行い,失敗するとアラート値が1d6上昇
3~5…運悪く警備員と鉢合わせる。戦闘/8の判定に失敗するとアラート値が1d3増える
6~8…特になにもなし
9~11…侵入者撃退トラップに引っかかる。肉体/8の判定に失敗するとセーブ不可の1点のダメージを受ける。
12…侵入者殺害トラップの餌食に。肉体/9の判定に失敗するとセーブ不可1d6点のダメージを受ける。

 


極東犯罪モンキーズ データ
キンテ・三十郎(リーダー)
フーリガン(基本P126)にチームワークを追加したもの


ドラッケン(荒事屋)
兵士(基本P130)から歴戦を削除したもの


セルゲイ(技術屋)
ニンジャ(基本P134)から超人を削除し、意地(犯罪)とスリを追加したもの

 

 

 

システム紹介:アジアンパンクTRPG「サタスペ」

今回紹介するシステムはサタスペです.

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サタスペは,冒険企画局が出しているTRPGのシステムで,簡単に言うと

「なんでもありのカオスな世界観でチンピラ(何でも屋)になって好き放題暴れる」システムです.

盗み,殺人,強盗,恐喝……取れる手段はなんでも駆使してこの街を生き抜け!

って感じです.

 

世界観:

サタスペの世界観は一言で言うとカオスです.

舞台となるのは第二次世界大戦でドイツが勝利した世界,日本という国は消滅し列島は大国に切り分けられています.そんな中残った近畿地方の都市「オオサカ」国連預かりとなり事実上の空白地帯に,結果オオサカは世界最大の貿易都市かつ犯罪都市となりました.オオサカでは銃声や爆発音は全て日常,宇宙人に連れ去られたり巨大怪獣に踏みつぶされるのも日常です.

 

とまあ,ざっと見ただけで世界観がどれだけカオスか分かってもらえたと思います.

プレイヤーはこのカオスな都市オオサカで生き抜いていかなければいけません.

 

概要:

プレイヤーは,オオサカで活動している「亜侠」として目的を達成するために動くことになります.

亜狭というのは,いわゆる何でも屋です.チンピラ以上侠客未満,なので亜侠と呼ばれており,表では別の仕事をしつつ裏で依頼されれば何でもやる便利屋としてオオサカで活動しています.

プレイヤーはこの亜侠となって,基本的に依頼主から依頼を受ける→依頼解決という形でシナリオを進めていくことになります.

 

キャラ作成:

プレイヤー達は亜侠となる訳ですが,基本的に亜侠は4~6人程のチームで活動しています.チーム内にはそれぞれ役割があり,プレイヤーはまずその役割の中から好きなものを1つ選びます.(これを宿業-チームカルマと呼びます)

宿業は全部で6つあり,

 

チームの司令塔となる「リーダー」

ブレインとして裏から手助けする「参謀」

得意分野を極める「技術屋」

戦闘を一手に引き受ける「荒事屋」

報酬や出費を管理する「マネージャー」

敵味方ともにかき乱す「道化師」

 

この中から1つ選んで自分の宿業とします.

宿業にはそれぞれ「異能」「代償」が設定されています.

異能は亜侠が使用できるスキルのようなもので,様々な便利な効果を発揮します.

逆に代償は特定の状況で亜侠にデメリットを発生させます.

 

宿業を選んだら,プレイヤーの名前や能力値,性業値,趣味や所持品などを決定して完成です.

面倒なデータ組みなどをする必要はないため,サタスペのキャラ作成はとても簡単です.何より,サタスペには大量の「ランダム表」が付いています.

サタスペには名前,性別,趣味,見た目などをランダムに決定するための表が付いており,これに従ってサイコロを振るだけでカオスなキャラクターを誕生させることが出来ます.

もちろん自分でキャラの設定を考えてもよいのですが,なにぶんカオスな世界観,その世界観に合ったカオスなキャラクターを作成するのにぴったりなのがこのランダム表です.初めてサタスペを遊ぶ時にはぜひこのランダム表を使ってキャラ作成することをオススメします.

 

特徴:

サタスペのシナリオは基本的にサイクル制で進行します.

サイクル制というのは,ある一定の時間で区切ってプレイヤー達が順次行動していくという者です.

具体的には,サタスペでは一日を早朝,朝,昼,夜,深夜の5サイクルに分け,プレイヤー達は1サイクルに全員1回ずつ何かしらの行動を行うことが出来ます.

サタスペの特徴としては,このサイクルごとに行える行動が非常に多いということです.

例えば,子供をさらわれた父親が「誘拐犯を見つけて子供を取り返してくれ」という依頼をしてくるシナリオだったとします.

当然プレイヤー達は誘拐犯たちについて情報収集をしてアジトに乗り込んでいく必要がある訳ですが,このようなシナリオを進める以外にも様々な行動が行えます.

例えば,武器や乗り物を調達するために銀行強盗を行って資金を調達したり,買ってきたドラッグをキメてハイになったり,恋人と「ご休憩」して英気を養ったり……とまあ割とやりたい放題できます.

 

判定について:

サタスペの判定では,6面ダイスを2個使用します.

判定時は,2d6を指定された回数振り,難易度以上の出目が出た回数がその判定の「成功度」となります.

例えば,「犯罪:難易度7 必要成功度2」という判定を犯罪5のキャラクターが行う場合,2d6を5回振って7以上の出目が2回出れば成功,となります.

この際,1ゾロを出してしまうとファンブルとなってしまいます.

ファンブルでは,判定が失敗してしまうだけでなく,状況に応じたファンブル表」を振って効果を適用しなくてはいけません.

「とりあえずダメもとで判定してみよう」などと言って判定したら痛い目に合ったりします.

 

プレイ感:

サタスペは,世界観全てがカオスである意味あまり現実味がない舞台です.

システムとして,麻薬,性,暴力,犯罪描写が前面に押し出されていますが,そんな現実離れした世界観なので割と割り切ってプレイすることが出来ます.

そのような世界で好き放題できるこのサタスペのカオス感は,一度プレイしないとなかなか分からないと思います.

人によって合う合わないはありますが,個人的にはとても好きなシステムの一つです.

 

長短所:

長所……

・現実離れした世界で好き放題に犯罪行為が行える.

字面だけ見るとアブナイ人みたいですが,普段やれないようなことをするのがTRPGです.犯罪行為に限らず,割とやりたい放題出来る面白いシステムだと思います.

・キャラ作成が楽

指定された項目を埋めていくだけでキャラクターが完成するため,キャラ作成は非常に簡単です.おまけにランダム表まで完備しているので,初心者にもキャラ作成はすぐに出来るでしょう.

 

短所……

・独特な世界観が合わない場合向いていない

どのTRPGにも言えることですが,世界観が合わないとこのシステムには向いていません.特にサタスペは独特な世界観故に好き嫌いが別れやすいシステムだと思います.

・1回の判定が長くなりがち

判定自体は分かりやすいのですが,1回の判定で複数回ダイスを振るため,判定ごとにかかる時間は長くなりがちです.戦闘時は特に顕著で,キャラクターが攻撃して相手が回避する判定,ダメージを軽減する判定…とやっていると一連の流れで2d6を20回ほど振ることもザラです.これがキャラが行動するたびに発生するので割と判定が冗長になりがちだったりします.

 

サタスペを始めとした冒険企画局TRPGは,他とは一線を隔する独特の雰囲気を持っています.ハマる人はとことんハマるので,一度プレイしてみてはいかがでしょうか.