オリジナルシナリオ集:クトゥルフ神話TRPGシナリオ「隣にいるのは…」
今回紹介するシナリオは,探索者2人用の短編シナリオです.
GMを含めても3人いればプレイすることができる珍しい構成のシナリオで,時間も短く非常にお手軽なシナリオとなっています.
ただし,プレイヤーが少ない分,自分で判断しなければいけない部分が多いということ,シナリオ展開によってはPVPが発生する可能性もあることから,ある程度クトゥルフ神話TRPGに慣れた人向けとなっています.
あまり技能を使う場面は用意していないので,各自,目星などを振らせたり,部屋を追加したりしてアレンジしてみるのもありかもしれません.
※シナリオ使用に関して
シナリオを使用するのに,特に許可や報告は必要ないです.
バンバン使っちゃって構いませんし,改変も自由です.
ただ,使用報告をコメントでしてもらうともれなくamidaのモチベが上がります.
クトゥルフ神話TRPGシナリオ
『隣にいるのは…』
プレイ人数:2人
プレイ時間:2~3時間
※2人用シナリオ
シナリオを円滑に進めるため、
それぞれの探索者がKPに対し、もう一人の探索者に
対し内容が分からないように相談することが出来るように
するのが望ましい。
1.シナリオ概要
目を覚ますと、知らない部屋だった。
部屋にいるのは二人。
首には爆弾付きの首輪
二人は無事に生還することができるのか?
真相
言ってしまえばニャルラトホテプの悪ふざけ。
探索者二人の夢に干渉して遊んでた。
ただそれだけ。
2.シナリオ
①目を覚ます。
探索者Aと探索者Bは二人とも知らない部屋で目を覚ます。
目を覚ます前の記憶は曖昧である。
持ち物は何ももっておらず、服装は入院患者のような服である。
この状況に置かれたことによるSANチェック(0/1d3)
両者共に謎の首輪を付けており、外そうとしても取れない。
首輪の色はそれぞれAは緑、Bは青である。
首輪には小さい鍵穴が付いている。(鍵開け不可)
②封筒
部屋には扉とテーブルがある。
テーブルの上には大きめの封筒が一つだけ置いてある。
封筒には「さいしょによむこと」と書かれている。
中には一枚の紙と二つの封筒が入っている。
紙に書かれていること。
「あなたたちはとらわれのみです
がんばってなぞをといてだっしゅつしてください
くびわがはずれたらでぐちをとおれます
くびわはじかんがきたらあなたたちをころします
あなたたちがまちがってもころします
むりやりはずそうとしてもころします
くびわをつけたままでぐちをとおってもころします
まずはじぶんのふうとうをあけてよむこと
ちゅうい
あいてのふうとうのなかみをよんじゃだめです
しにます」
二つの封筒にはそれぞれの探索者の名前が書かれている。
探索者Aの封筒
「①あおいくびわのはずしかた
・みどりのくびわのひとがしぬ
・あおいかぎでくびわのかぎをあける
のどちらかをしたらあおいくびわははずれます
②きんこのぱすわーど
4623
③となりのへやにいるおんなのこのしょうたいはばけものです
かのじょがいきているとだっしゅつするときとてもこわいめにあいます
あかいぼたんをおすとかのじょはしにます
ちゅうい
③のないようはひとにおしえてはいけません
おしえたらふたりともしにます」
探索者Bの封筒
「(上部に破られた跡がある)
②せいげんじかんはさんじかんです
じかんはとなりのへやのとけいでかくにんしてください
③あんごうのひんと
『原→+1
デモ→-3
具→-1』
④みどりのくびわについて
・たべものをたべる
・みどりのくびわのかぎあなにみどりのかぎをさす
のどちらかひとつでもみどりのくびわのひとがすると
みどりのくびわのひとがしにます
⑤あかいぼたんをおすとあかいくびわをしているひとがしにます
ちゅうい
④と⑤のないようはひとにおしえてはいけません
おしえたらふたりともしにます」
③隣の部屋
扉にもし聞き耳をしたなら、中から人の気配がする。
隣の部屋に入ると、女の子が一人立っている。
彼女は赤い首輪をしており、探索者と同じ格好をしている。
(この少女はニャル様の作り出した人形である)
彼女はナナコと名乗る。
彼女は幼いため自分の置かれた状況についてもあまり理解していない。
気が付いたらこの部屋に寝かされていたと語る。
部屋にあるもの
・ベッド
少女が寝かされていたと思われるベッド
枕元に目覚まし時計が置かれており、3時間後にアラームが
セットされている。
・金庫
部屋の真ん中に大きくて頑丈そうな金庫がある。
少なくとも道具も無しに破るのは不可能である。
特殊なダイヤル式の錠でロックされているため
鍵明けで開けるのは不可能。
右4→左6→左2→右3
でロックが解除できる。
金庫の中には赤いボタンと小箱が入っている。
小箱には青い錠前が付いており、青い鍵で開けることが出来る。
小箱を振っても音はしない。
小箱の中にはメモの切れ端が入っており、
「①みどりのくびわのはずしかた
・あおいくびわのひとがしぬ
・しろいかぎでくびわのかぎをあける
のどちらかをしたらみどりのくびわははずれます」
・奥の扉
『でぐち』と書かれたプレートがかけられている。
白色の錠前が付いている。
白色の鍵で開けることが出来る。
・キッチン
一般的な食器類や調理器具、冷蔵庫が揃っており、コンロも使える。
コンロの上には鍋が置いてあり、おいしそうなカレーが入っている。(量は1.5人前くらい)
カレーを食べるか、別の器に移すかして鍋を空にすると、白い鍵が
鍋の底に貼り付けられているのを見つける。
冷蔵庫の中には牛と豚と鶏の生首が入っている。中を見てしまったらSANチェック(0/1d3)
・本棚
本棚を調べると、二枚のメモを見つける。
メモの内容
「もぐはでらはでらもぐ」
「 あかいくびわのはずしかた
・あかいかぎでくびわのかぎをあける
だけです
あかいかぎはひとつしかないからたいせつに」
・クローゼット
開けると、二人の人間の死体が転がり出てくる。
この死体は頭と体が分断されている。(0/1d4)
死体をよく調べると首輪の内側から刃がギロチンのように
せり出し、首が切断されているのだと分かる。
アイデアに成功すると、彼らも自分達と同じ状況で死んだのだと
考えてしまい、0/1d3のSANチェック
・テーブルとイス
テーブルと3人分のイスが置かれている。
テーブルの上には小箱が置かれている。
小箱は振るとカラカラという金属音がする。
小箱には白い錠前が付いている。
白い鍵で開けることが出来、中には青い鍵と緑色の鍵と赤色の鍵が入っている。
ただし、赤色の鍵は真っ二つに折れているうえ先も変形しており、使用できない。
④脱出
青い首輪は青い鍵を使うかもう一人の探索者が死んだら、
緑の首輪は白い鍵を使うかもう一人の探索者が死んだら
外れる。
ナナコは赤いボタンを押すと、首輪が発動し、首が切断されて死亡する。
(目撃したら0/1d6、ボタンを押した張本人は1/1d6+1)
青い首輪が発動する条件
・3時間経過する(時間切れまで待つなどの選択をしたとき以外は適用しない)
・最初のメモの禁則事項を伝える
・首輪を付けたまま出口を出る
緑の首輪が発動する条件
青い首輪が発動する条件+
・食べ物を口にする。
・緑色の鍵を首輪の鍵穴に差し込む
首輪を外していれば出口から出られる。
出口の先はひたすら一本道の通路となっている。
Aルート
ナナコが死亡している場合
通路を歩いていく途中、後ろからナナコの「待ってー」という
声が聞こえる。後ろを振り向くと「うまいことやりやがって」
という声と共にナナコは一瞬おぞましいものの影を見せた後消える。
1d6/1d20のSANチェック。振り向かなければ、声だけ聞くので0/1d4
Bルート
ナナコが生存している場合
通路を歩いていくと、ナナコが急に豹変し、「お人よしめ」と呟いて
笑ったかと思うと、ナナコの体がドロドロに溶け、ニャルラトホテプ
となる。
『背が高く、痩せていて古代エジプトのファラオのように若々しい
顔をしており、華やかな虹色のローブをまとって、頭にはそれ
独自の光で輝く黄金の冠を被せている。それは我々の常識で
はかりしれるものでは到底ないし、その存在を理解することなど
不可能であろうというのが直感で分かるような、あまりにも強大である
存在であった。』
1d10/1d100のSANチェック
どちらのルートでも、生存して脱出できれば、そのまま意識を
失って、自分の部屋のベッドの上で目覚める。
もし死亡していれば目を覚まさず、脳死の状態となる。
シナリオクリア
報酬
悪夢からの脱出 1d6
二人とも生存 1d6
ダブルクロス3rd:シンドローム紹介
ダブルクロスでは,レネゲイドに感染して超常的な力を身に付けた存在,オーヴァードとなる訳ですが,この超能力は,「シンドローム」という区分分けで大まかに分けられています.プレイヤーはこの中から1~3つを選んで自分のキャラクターとすることが出きます.
では,どのようなシンドロームがあるのか,一つずつ見ていきましょう
『エンジェルハイロゥ』
イメージキャラクター:
黄猿(ONE PIECE)
光を操るシンドロームです.
光による目くらましやレーザー,ビーム攻撃
光の屈折率を変えた透明化
強化された知覚による射撃等が行えます.
『バロール』
イメージキャラクター:
ブラゴ(金色のガッシュベル!)
重力を操ることが出来るシンドロームです.
相手に強い重力をかけて押しつぶしたり,逆に自分にかかる重力を軽くして空を飛んだり出来ます.また,ほんの一瞬ですが時を止めたりといった特技も持っています.
『ブラックドッグ』
イメージキャラクター:
電撃を操るシンドロームです.
単純に電撃を放ったりするほか,神経回路に作用させた感覚の強化,電子機器のハッキング,自身のサイボーグ化等が行えます.
『ブラム=ストーカー』
イメージキャラクター:
五十嵐 丸太(デッドマンワンダーランド)
自分の血液を弾丸や刃にしたり,相手から血を吸って回復したりなどが出来ます.
また,「従者」と呼ばれる自分の眷属を作成して戦うことも可能です.
『キュマイラ』
イメージキャラクター:
鵺野鳴介(地獄先生ぬ~べ~)
高槻涼(ARMS)
自分の体を獣や怪物のものに変化させるシンドロームです.
体の一部を怪物に変化させて殴ったりするほか,全身を獣に変化させたりといった変身系の能力になります.
基本的には力任せの戦闘スタイルになり,獣化してぶん殴る,相手が複数いれば腕を増やしてぶん殴る,背中から鳥の羽を生やして空を飛ぶ…といったことが出来ます.
『エグザイル』
イメージキャラクター:
君麻呂(NARUTO)
サニー(トリコ)
自分の肉体に対し,通常ありえないような変形を行って戦うシンドロームです.
自分の骨を弾丸として飛ばしたり,骨を剣にする,腕を伸ばして攻撃,髪の毛を操って攻撃など,自分の肉体を武器として扱います.
キュマイラを剛の変化とするならば,エグザイルは柔の変化となります.
『ハヌマーン』
イメージキャラクター:
ストレイト・クーガー(スクライド)
超高速で動くことが出来るシンドロームです.
また,音や振動,風を操って戦うことも出来ます.
高速機動を生かした肉弾戦やかまいたち,歌による支援等が可能です.
『モルフェウス』
自由に物体を錬金するシンドロームです.
戦闘中に,銃や剣,鎧を錬成したり,相手の防具を逆に破壊したり…
バラやペンダントなどを銃に変えたりと完全に物理法則を無視した変化を行うことが出来ます.また,副次効果として,砂を操ることもできます.
『ノイマン』
イメージキャラクター:
インデックス(とある魔術の禁書)
高峰清麿(金色のガッシュベル!)
白(ノーゲーム・ノーライフ)
万能の天才になるシンドロームです.
超高速思考,並列思考が可能になり,戦況把握による支援等の他,自分の体を思い通りに操ることで正確無比な射撃や近接戦闘をこなすことも可能です.
『オルクス』
イメージキャラクター:
自分の周囲に一定の空間を作り出し,その空間内で万能の力を発揮するシンドロームです.自分の領域内ならば全て自由自在に動かすことが出来,サイコキネシスのようなことや瞬間移動,範囲内の動植物を自在に操る,などが可能です.
『サラマンダー』
炎と氷を操るシンドロームです.
より正確に言えば熱量を操ることができます.
純粋に炎や氷を打ち出して戦う他,熱エネルギーを運動能力に変化させて身体能力を高める等の使い方が可能です.
『ソラリス』
ココ(トリコ)
愛染(BLEACH)
毒を操るシンドロームです.
様々な薬品を生み出すことができ,猛毒を生成して射出,自らの肉体をドーピングして強化,幻惑効果のある薬剤を用いた精神攻撃,回復薬を生成した治療などを行うことが出来ます.
『ウロボロス』
イメージキャラクター:
主人公(ペルソナ4)
レネゲイドに直接干渉して戦うシンドロームです.
自らの影を操って戦う他,相手の能力を奪い取ったり,打ち消したりといった戦い方が可能です.
ある程度の制限は付きますが,他のシンドロームから好きな特技を取得できるなど,なかなかに強力なシンドロームとなります.
以上,これら13種のシンドロームを駆使して戦うことになります.
(イメージキャラはやはり自分の趣味に寄る……というか禁書とONEPIECE万能すぎる……)
これらの組み合わせで,大抵の能力は再現可能となります.
一度,自分の思い描くキャラクターを作ってみてはどうでしょうか.
システム紹介:ダブルクロス The 3rd edition
今回紹介するシステムは,『ダブルクロス』です.
TRPGの制作会社,F.E.A.R.さんが出しているシステムの一つで,簡単に言うと,
『現代日本で超能力異能バトルアクションをする』システムです.
現代日本の裏で暗躍する超能力者たちが,日常を守るために非日常の戦いに身を投じていく……そんなシステムとなります.
世界観:
ダブルクロスの舞台となるのは,現代日本です.
たった一つ違うのは,レネゲイドウィルスというウィルスが存在しているということ.
約20年前に,とある遺跡で解き放たれてしまったレネゲイドウィルス……
これに感染した者は,自らの理性を蝕まれる代わりに物理法則を超越した超能力が使えるようになります.
世間にはこのレネゲイドウィルスの存在は隠されており,世界の裏側ではこのレネゲイドウィルスを悪用しようとする者と,人々を守ろうとする者の間で,激しい戦いが繰り広げられている…
という世界観になります.
概要:
プレイヤーは,レネゲイドウィルスに感染して超能力者を扱えるようになった存在…
通称『オーヴァード』となって日常の裏で戦うことになります.
オーヴァードは,様々な異能を使いこなすことが出来,その異能には大きく個人差があります.あるものは炎や氷を操り,あるものは化け物に変身する能力を身に付け……
しかし,共通して言えるのは,異能を使う代償に自らの理性を差し出しているということです.異能を使うごとにレネゲイドウィルスに浸食され,完全に理性を喰らいつくされると,理性なく力を振るい人々を脅かす存在…『ジャ―ム』となってしまいます.
そのような『ジャ―ム』の脅威から人々を守るために結成されたのが,正義のオーヴァード達で構成された秘密組織『UGN(ユニバーサル・ガーディアン・ネットワーク)』です.自らの異能を使ってジャ―ムの脅威から一般人を守る……世間一般には全く認知されていない秘密組織ですが,世界中に多数の支部を持ち,優秀なオーヴァードを多数抱えています.
しかし,オーヴァードも当然正義の味方ばかりではありません.その力を悪用して世界を害したり,自らの欲望を叶えようとするオーヴァードも多くいます.そんなオーヴァード達の悪の組織が『FH(ファルスハーツ)』です.FHは日々UGNと激しい戦いを繰り広げています.
キャラ作成:
プレイヤー達はオーヴァードとなるわけですが,どのような超能力を使えるかは,個人差があります.それらの能力は,『シンドローム』と呼ばれる大まかな系統で分けられています.例えば,炎や氷を操るオーヴァードは「サラマンダーシンドローム」,怪物に変化するオーヴァードは「キュマイラシンドローム」と呼ばれます.プレイヤーは,自分のキャラが,どのような能力を持っているかを,このシンドロームを選んで決めます.シンドロームは,合計で13種類あります.この中から,1~3つのシンドロームを組わせて自分のキャラの能力を決めます.
そう,1つではなく,最大3つのシンドロームを組み合わせることが出来るのが特徴です.例えば,電撃と炎,氷を同時に操る能力者や,重力を操り動きを止めてから怪物に変身して殴る…なんてことも出来ます.ただし,1つに特化するとそのシンドロームにおいてはとてつもない力を発揮したりと一長一短です.
そうやってシンドロームを決定したら,細かい能力を決めます.
ルールブックには,シンドロームごとに取得できる特技が設定されています.
単純に敵に与えるダメージを増やしたり,空を飛んだり……
このような特技を決められた数取得することでキャラクターのゲーム的な能力を決定します.
最後に,キャラクターの名前や設定を決めたらキャラクターの完成となります.
特徴:
ダブルクロスは,シーン制で進みます.
シーン制とは,オープニング,ミドルフェイズ1,ミドルフェイズ2…といった形で話が一区切り着くごとに一旦シーンを切って場面を転換させていく,というのを繰り返していく進め方のことを指します.
その時その時のシーンに自分のキャラを登場させるかどうかは,基本プレイヤーの自由です.(もちろんシナリオの都合で絶対でなければいけないシーンや,逆に出ることが出来ないシーンもあります.そこはGM次第です)
シーンに登場すると,キャラクターの「浸食値」が増加します.
浸食値とは,キャラクターがレネゲイドにどの程度浸食されているか…を示す値になります.今回のようにシーンに登場したり,特技を使用する度に増加していきます.
この値が増えると,レネゲイドに馴染み,キャラクターが強くなります.しかし,高ければよいというものでもありません.シナリオ終了時にこの値が100を超えていた場合,そのキャラクターはジャ―ムへと変貌,つまりキャラロストしてしまいます.
この浸食値を下げる方法が,『ロイス』を使うことです.
『ロイス』とは,浸食値と並んでこのシステムの肝となるもので,キャラクターの持っている『絆』のことです.キャラクターは,守るべき恋人や倒すべき敵,背中を預けられる仲間,などの特別な感情を持っている対象に対して『ロイス』を取得することが出来ます.ロイスは,そのロイスの「対象」と,「感情」で構成されています.
例えば,
『恋人:愛情/不安』
といった形でロイスを取得できます.このロイスは,GMに申告して許可が出れば,プレイヤー一人につき7つまで取得することが出来ます.
この「ロイス」は,セッション終了まで持っていると一つにつき一個10面ダイスを振り,出た目の分だけ浸食値を下げることが出来ます.要は,絆の力で理性を取り戻し,踏みとどまこるとが出来る…という訳ですね.
逆に,このロイスは,対象への感情を劇的に変えることで『タイタス』というものに変化させることが出来ます.このロイスをタイタスに変更するのもプレイヤーはいつでも行えます.このタイタスは,戦闘における切り札となります.戦闘不能から復活したり,自分の攻撃のダメージを増加させたり……
つまり,「あいつのためにまだ倒れるわけにはいかないんだ!」とか,「死んでいった者たちの思いをこの拳に乗せる!」みたいなことが出来ます.
タイタスにしてしまったロイスは,浸食値の減少には使えないので,帰ってこられるギリギリのラインを見極める……というのがこのシステムの肝となります.
判定について:
このゲームの行為判定の方法は少々ややこしいです.
まず,このゲームで使用するダイスは10面ダイスです.
この10面ダイスを指定された数だけ振り,振った中で最大の出目が達成値をなります.
例えば,3つ振ったとして,「2,5,8」と出れば,達成値は8となります.
ただし,出目の中に10があった場合,10の出たダイスを振りなおして,その出目に+10を足したものが達成値となります.
例えば,「2,8,10」と出た場合,10のダイスを振りなおして「6」と出たとします.
この場合は達成値が16となります.
TRPGの中では割とややこしい判定方法かもしれません.
プレイ感:
ダブルクロスは,判定の複雑さを除けば,特に難しいことを考える必要もなく,現れた敵を超能力でバッタバッタとなぎ倒していけばよいので,初心者にも勧められるシステムだと思います.
シンドロームを複数組み合わせることで,大抵の能力は再現することが可能で,様々な演出をして楽しむことが出来ます.
童心に帰って中二病全開でプレイしていくのが,このゲームの楽しさだと思っています.
長短所:
長所……
・中二病全開で異能バトルアクションを楽しめる
・振り切ってしまえばロールプレイもしやすく,シナリオ構造も複雑になりにくいので割と初心者向け
短所……
・キャラ作成時のデータ組みにそこそこ時間がかかる
・推理やとんちで場を切り抜けたりといった要素は少ない
・判定方法や戦闘システムが少々複雑
・10面ダイスを大量に用意する必要あり
ダブルクロスを始めとしたF.E.A.Rゲーは数も多く,楽しめるものが多いです.
戦闘システムも,最初は多少戸惑うかもしれませんがF.E.A.Rゲー同士で共通していることが多く,一度覚えてしまえば大体のF.E.A.Rゲーで使えます.
たまには,中二心全開で超能力をぶっ放す,ダブルクロスを遊んでみてはいかがでしょうか
TRPG入門②TRPGとは?後編
さて,前編でキャラ作成までが終わりました.
キャラ作成の後は,いよいよTRPGのシナリオの始まりです.
シナリオというのは,ゲームマスターが事前に用意しておいた,今回の冒険の内容のことを指します.
まず初めにどんなことが起こって,どんな敵が出てくるか,黒幕は誰か,などを全て事前に決めておいたものです.
例えば,
『プレイヤー達はゲーム開始時にとある街の酒場にたまたま居合わせていた.
どうやら,強力なモンスターが森に現れたらしく,高額な懸賞金がかけられているようだ.プレイヤーたちは協力して,このモンスターを討伐しにいくこととなる』
という導入でシナリオが始まると決めておいたとします.
ゲームマスターは,この導入をプレイヤーに説明し,実際にプレイヤー達にこのシーンを演じて貰います.
例えば,剣士のキャラクターが
「強力なモンスターか…俺の剣が通用するか試してみようか」
と呟き,隣に座っているエルフのキャラクターが,
「あなた何の情報や準備も無しに討伐に行く気?そのモンスターの情報を集めるほうが先だと思うけど」
と諫めて,盗賊のキャラクターが,
「面白そうな話だな,俺も一枚噛ませてくれよ」
と割り込んでくる…
このように,プレイヤーたちが自分のキャラクターを演じてシーンを作っていきます.
このようなロールプレイは,事前にどのような展開にするかプレイヤー同士で相談してからやったり,相談せずにその場のノリで演じたりします.
こういった自由なロールプレイが出来るというのがTRPGの醍醐味の一つです.
ただし,TRPGを始めたての頃は,とっさにこういったロールプレイが思いつかなかったり,そもそも恥ずかしくて思い切ったロールプレイが出来なかったりします.
そういった時は,あまり無理せず,他のキャラの話に相槌をうったり,自分もなんやかんやで仲間に入りました,という風に流してしまっても大丈夫です.
しかし,慣れてきたら積極的にロールプレイしていくことをオススメします.
さて,モンスター退治に行くことになった一行ですが,ここからのプレイヤーの行動は割と自由にすることができます.
何も考えずにモンスター討伐に出発することも出来ますし,武器や防具を揃えに行ったり,モンスターの情報を集めたり……
ゲームマスターが許可する限り,プレイヤーは自分の思いつく限り色々なことが出来ます.
例えば,シナリオでゲームマスターが事前に決めていた情報が以下の通りだったとします.
・モンスターは森の奥の洞窟を根城にしている.
・モンスターは固い甲羅に覆われているため,物理攻撃が通じにくい
・モンスターの弱点は,炎である.
・モンスターはピンチになると仲間を呼ぶ
しかし,これらの情報は一切プレイヤー達には開示されていません.
そこで,エルフのプレイヤーが,酒場で情報収集を行ったとします.
ここでどのような判定をするかは,遊んでいるシステムによって決められていたり,ゲームマスターが決めたりします.
エルフのプレイヤーが判定に成功し,情報をゲットしたとします.
この時,どの情報をどの程度開示するかなどは全てゲームマスターが決定します.
ここでは,「モンスターの弱点は炎のようだ」という情報を手に入れたとしましょう.
ここで,盗賊のプレイヤーが,油と布と木の棒を組み合わせて松明を作ろう,と提案したとします.こういったプレイヤーからの提案を受けたときは,ゲームマスターがその行動を許可するか,可能か,それがどのような効果を及ぼすか,を決定します.今回は,素材がすぐ手に入りそうなので許可,松明を作成するために<工作>の判定に成功すること,松明を持っているとモンスターとの戦いで有利になる,という裁定を下したとします.このように,ゲームマスターが想定していなかった行動でも,ゲームマスターが許可をすれば行うことができます.
しかし,剣士のプレイヤーが,森を焼き払ってしまえばモンスターも倒せるのでは,と提案したとします.確かに,準備をして火を付ければ,森を焼き払ってしまうのは可能かもしれません.しかし,そんなことをすれば,報酬を貰うどころかむしろ犯罪者になってしまいそうですし,そもそもそこでシナリオが終わってしまい,台無しになってしまいます.このような無茶な提案をゲームマスターは一方的に却下できます.
そもそも楽しむためにゲームをやっているのだから,それを台無しにするような提案は通らない,ということですね.
さて,この後も情報を集め,準備も万端にして,いよいよモンスター討伐に出発したとします.
ここでもゲームマスターは,シナリオに決めていたようにイベントを起こしたりすることが出来ます.
例えば,同じモンスターを狙う冒険者の一団が現れて,「そのモンスターに手を出したらただじゃおかないからな」と脅しに来たりといったイベントが起きたとします.
プレイヤー達は,ロールプレイでこの場を乗り切ったり,戦闘に突入して叩きのめしたりといった行動を,やはりゲームマスターが許可する限り自由に行えます.
このようにして,イベントを切り抜け,いよいよモンスターとの最終決戦に突入,死闘の末,なんとかモンスターを討伐することが出来たので,今回のシナリオは終了しました.
このようなのが,TRPGのシナリオの流れとなります.
一貫して言えるのは,「ゲームマスターとシステムが許す限りプレイヤーは何をしてもよい」というところですね.
ここが,TRPGと普通のテレビゲームの最大の違いです.テレビゲームではあらかじめ決められた行動しか取れませんが,TRPGでは,思いついた色々な行動やロールプレイが出来ます.こういった,話の展開がどう転ぶか分からない,というのがTRPGの最大の魅力だと思います.
「TRPG」というものが何か,という大まかな説明は以上になります.
最後に,勘違いしてほしくないのですが,TRPGはプレイヤーVSゲームマスターといった構造の対決ゲームでは決してありません.ゲームマスターは,あくまでプレイを円滑に進めるための審判であり,話の大筋や敵キャラを操作するだけで,あくまで目的は「みんなでゲームを楽しむこと」です.シナリオがどのような結末になったとしても,全員が楽しめたのならばそのシナリオは大成功だったということになります.
それだけを心の隅に置いておけば大丈夫です.
TRPG小話:ダイスについて
TRPGでは,キャラクターの行動の成否などを判定する際によくダイス,つまりサイコロが用いられます.双六とか麻雀で使われるアレですね.
上のようなダイスは『6面ダイス』と呼ばれる,その名の通り面が6つあるダイスです.
しかし,TRPGで使われるサイコロは,このようなダイスだけではありません.
TRPGでは,遊ぶシステムや判定に応じて,色々な種類のダイスを使用します.
TRPGでよく使われるダイスをいくつか紹介しましょう.
『6面ダイス』
主な使用システム:ソード・ワールド,クトゥルフ,グランクレスト他
一般的に知られているようなダイスです.
当然一番メジャーでこのダイスを使うシステムも多いです.そのまま振れば1~6まで均等な確率で目が出ます.
TRPGで使用する場合は,2個振った合計値を参照することが多いです.2個振った合計値だと2~12の値が出ます.ちょっと数学的な話になりますが,期待値7を基準として,期待値から外れるほど出現する確率が少なくなります.(2と12は期待値7に比べて出る確率は6分の1)確率に偏りが出て,期待値付近の値が出やすいことによって判定前にある程度作戦が立てやすくなる訳です.(言葉で聞くとピンと来ませんが実際にやってみると実感します.)
また,1~3の出目が欲しい時には,6面ダイスを振って出た目を2で割った数(余り切り上げ)を使うことが多いです.
『4面ダイス』
主な使用システム:クトゥルフ
ちょっと変わった形の4面ダイスです.
初めて見たときは,数字の見方が分かりにくいですが,見えてる数字の中の下の数字(ちゃんと読める数字)が出目になります.画像では黄色が2,白は3,緑は4ですね.
判定で使われることはあまりありませんが,プレイヤーの中からランダムに1人選んだりする時によく使われたりします.(プレイヤーは4人の場合が多いため)
『10面ダイス』
主な使用システム:クトゥルフ,ダブルクロス,コード:レイヤード
おそらく,TRPGでは6面ダイスに次いでメジャーだと思います(個人的な印象です).単純に1~10の出目が欲しい時に使用する他,1~100の出目が欲しい時は10面ダイスを2つ振り,片方を10の位,もう片方を1の位として判定します.
『その他のダイス』
他にも色々なダイスがあります.上の画像は20面ダイスや8面ダイスですね.
TRPGでもあまり判定で使われることはありませんが,1個持っておくと意外な場面で役に立ったりします.
判定の表記方法について:
TRPGのリプレイを見ていると,このような会話を頻繁に目にします.
PL1「ゴブリンに剣で攻撃します」
GM「ゴブリンの回避値は4です.2d6で命中判定を行ってください.」
PL1「よーし,(コロコロ)…出目は8ですね.」
GM「命中です.ダメージロール1d4+3をお願いします」
PL1「(コロコロ)…出目は3なのでダメージは6です.」
この会話の中で,よく分からない表記がいくつかあったと思います.
2d6とか,1d4+3とかの部分ですね.
この表記は,どのダイスを何個振るか,ということを表しています.
dの前の数字が振る数,dの後ろの数字が振るダイスです.
上例の2d6ならば,『6面ダイスを2個振った合計』を出す,ということになります.
では,1d4+3ならどうでしょう?
1d4は,当然『4面ダイスを1つ振った値』ということになります.
後ろにくっついてる+3というのは固定値と呼ばれます.固定値は,ダイスを振った出目に直接足す数字です.今回ならば,4面ダイスを1個振って出た値に3を足した分が最終的なダメージになる,ということになります.
TRPGではよく使われる表記方法ですが,初めて見た人は戸惑うと思います.ぱっと見難しそうに見えますが,全然そんなことはないので,リプレイ動画を見たりする際の参考になれば幸いです.
最後に:
6面ダイスはともかく,その他のダイスは普通のお店ではなかなか売ってません.
売っているのは,カードショップやボードゲームショップなどの専門店が主です.(自分はイエサブで買いました)
とはいっても,今はamazon等の便利な通販サイトが充実しているので,揃えるのに苦労はしないはずです.値段もお手頃で1個100円前後のものが大半です.
最悪,携帯アプリでもこれらのダイスを振ってくれるアプリはありますが,やはり自分でダイスをコロコロ転がして一喜一憂するのがTRPGの醍醐味です.TRPGを始めるなら,ぜひマイダイスを揃えてみることをオススメします.
システム紹介:クトゥルフ神話TRPG(Call of Cthulhu)
今回紹介するのは,クトゥルフ神話TRPGです.
TRPGを知らない方でも名前くらいなら聞いたことがあるのではないでしょうか?
TRPGのシステムの中ではダントツといっていい程の知名度を誇り,派生作品やリプレイ動画も非常に豊富です.
クトゥルフ神話TRPGからTRPGの世界に入ったという人も少なくないと思います.
(実際私も初めてプレイしたシステムはクトゥルフでした)
世界観:
クトゥルフ神話TRPGの舞台となるのは,剣や魔法のファンタジー世界ではなく,ごくありふれた普通の現代日本です.
平日は社会人が会社に行き,学生は学校へ行く.主婦が買い物に行き,警察官が街をパトロールしている.
そんなあなたが普段暮らしているのとさほど変わらない世界です.
しかし,そんな平和に見える日常も一皮剥けば狂気の世界が隠れています.
世界には,ほとんどの人が知らないだけで,様々なおぞましい魔術や怪物,邪神が存在しており,それらは確実に日常の裏に潜んでいる……
そんな世界がクトゥルフ神話TRPGの舞台となっています.
・概要:
クトゥルフ神話TRPGでは,プレイヤーは探索者と呼ばれる人となって冒険をします.
探索者とは,せいぜい常人に比べて専門的な技能を有しているだけの一般人に過ぎません.例えば,「医学部に通う普通の大学生」であったり,「警察署に勤務する普通の刑事」だったりします.
探索者は,ひょんなことからおぞましい事件に巻き込まれてしまうのです.
この世界には,読むだけで発狂してしまうような魔術書や醜悪な怪物,強大な力を持った邪神が存在しています.そのようなものに関わり,正気を削られながらもなんとか生還を目指す……といったホラーテイストのシステムになっています.
特徴:
プレイヤーの分身である探索者は,いくつかの技能を持っています.
例えば「鍵開け」や「医学」,「拳銃」,中には「乗馬」などの技能をキャラクター作成時にいくつか取得します.
これらの技能は,その技能がどれくらい得意であるか,という基準として0~99の値表されます.
例として,ここに以下のような探索者Aがいるとします.
『探索者A:職業 探偵
技能:鍵開け60,交渉40,聞き耳50,忍び歩き80』
シナリオを進めていく中で,Aさんが鍵のかかった倉庫の中に入りたいとします.
その場合,鍵を開けるために「鍵開け」の技能を使用するわけです.
技能が成功するかどうかの判定には,1d100を振ります.
1d100とは,数字の1~100の目が出るサイコロを振って出た目に従う,ということです.
当然,100面ダイスなんてものは使ってられないので,ここでは10面ダイスを使用します.
二つの10面ダイスを用意し,どちらが10の位でどちらが1の位を示すかを先に決めておきます.そしてダイスを振り,片方を10の位,もう片方を1の位とすることで1~100までの目を出すことができます.(00は100として扱う)
話が逸れましたが,Aさんが「鍵開け」で判定した結果,45の目が出たとします.
Aさんの「鍵開け」の技能は60であり,45よりも大きいので判定は成功.
Aさんは無事鍵を開けて倉庫の中を調べることができました.
このように,1d100の出目が使用した技能よりも低ければ判定は成功となります.
このように,探索者は,自らの持つ技能と知恵で危機を脱し,生還しなければなりません.
しかし,そう簡単にはいかないのがクトゥルフ神話TRPGです.
クトゥルフ神話TRPGの目玉でもある判定
SANチェックが存在しているからです.
探索者は,SAN値と呼ばれるポイントを持っています.
SAN値とは,探索者が現在どの程度正気を保っているかを示す値です.
あまりにも日常からかけ離れた狂気の世界…そのような世界を探索者は垣間見ていくことになります.
例えば,惨殺された親友のバラバラ死体を発見する,狂信者のおぞましい日記を読む,この世のものとは思えない怪物に遭遇する…
そのような出来事に遭遇するたび,探索者はSANチェックと呼ばれる判定をしなければいけません.その判定に失敗すれば,探索者はSAN値を失うことになります.
そして,一度に多くのSAN値を失うと探索者は一時的に発狂してしまいます.
叫びながら逃げまどったり茫然自失になってしばらく動けなくなったり,幼児退行したり…
(ちなみに,自分の探索者が発狂したときに,その発狂状態を自分で演じる「発狂ロールプレイ」はクトゥルフ神話TRPG醍醐味だったりします.)
発狂は大抵一時的なものですが,SAN値が0になってしまうとその探索者は永久発狂…つまりゲームオーバーというわけです.
プレイ感:
実は,クトゥルフ神話TRPGは,TRPGの中でもかなり特殊なものだったりします.
というのも,大前提として,クトゥルフ神話TRPGでは,怪物のとの戦闘は推奨されていません.
大抵の怪物は人間より強く,プレイヤーは殆ど戦う力を持たない探索者だからです.
鋭い爪や牙,飛行能力,強力な呪文…まともに探索者が戦おうとすれば,瞬く間に八つ裂きにされてしまいます.そもそも,怪物を見ただけで発狂する危険もあるため,基本勝負になりません.特に邪神と呼ばれる巨大な神々は一振りで地球を消滅させるほどの力を持っているようなのがウジャウジャいたりします.
もちろん拳銃や武道を用いて戦うことは不可能ではありませんが,極力直接戦うことは避け,他の打開策を探るのがクトゥルフ神話TRPGの基本となります.
例えば,それらの怪物を退散させる呪文を探したり,弱点となる道具を見つけたり…
といった行動で状況を打開していくことになります.
また,舞台が現代日本であるため,探索者はあまりむちゃくちゃなことも出来ません.
窃盗や殺人などの罪を犯したことがバレれば当然警察に逮捕されたりします.
超人となってモンスターをバッタバッタとなぎ倒していくような内容が多いTRPGの中では異端な存在であると言えます.
なかなかグロテスクだったりホラーな描写も多く,実は割と人を選ぶシステムだったりします.
長短所:
長所…
・知名度が高い
→実は非常に重要です.TRPGである以上,複数人が集まってくれないとプレイできません.クトゥルフ神話TRPGなら,TRPGを知らない人でも興味がある人はたくさんいるので,プレイする人を集めやすいという利点があります.
食人鬼(グール)やニャルラトホテプ,ダゴンなどの怪物や邪神たちは名前を聞いたことがある人も多いかと思います.
・ホラーな雰囲気や推理描写が好きな人にオススメ
→クトゥルフ神話TRPGの,一歩間違えばすぐに死んだり発狂してしまうような独特の緊張感と雰囲気は他にはなかなかないものです.このようなものが好きな人にはぴったりなシステムだと思います.
他のTRPGにはなかなか無い,推理で状況を打開したりするようなものが好きな人にもオススメです.
短所…
・あまり派手な戦闘はできない
上でも述べた通り,怪物とのド派手なバトルを期待する人には余り合わないかもしれません.基本的に探索者は怪物との戦闘を出来る限り避けて打開策を見つけていくことになります.
・ホラーな雰囲気やグロテスクな描写が苦手な人には余りオススメ出来ない
→長所でも書いたような雰囲気は,逆に苦手な人もいます.いつ怪物に襲われるかもしれない恐怖や発狂していく仲間たち,怪物によって無残にも惨殺されてしまった犠牲者たち…そのような描写が苦手な人は,止めておいたほうが無難だと思います.
・ルールブックが高い
TRPGを遊ぶのに必須となるルールブック,当然クトゥルフ神話TRPGにも専用のルールブックが必要となります.
一般的なTRPGのルールブックの値段は1000円弱,高いもので3000円程ですが,クトゥルフ神話TRPGのルールブックは6000円強もします.
た…高い……
必ずしも全員が一冊ずつ持つ必要はなく,ゲームマスターが1冊持っていれば十分なのですが,それでもなかなかパッと出せるような値段ではないと思います.
まとめ:
クトゥルフ神話TRPGは,その圧倒的知名度とは裏腹に割と人を選ぶシステムでもあります.しかし,好きな人はとことん好きだし,このクトゥルフ神話TRPGからTRPGの世界にハマっていったという人はとても多いと思います.
今まで一度もTRPGをプレイしたことがないという人も,思い切ってプレイしてみてはいかがでしょうか?
TRPG入門①TRPGとは?前編
皆さんは,TRPGという単語を聞いたことがあるでしょうか?
恐らく,殆どの方は耳慣れない単語だと思います.
(もしかしたら,クトゥルフ神話TRPGなら聞いたことある人は多いかもしれませんが)
TRPGとは,テーブルトーク・ロールプレイングゲームの略です.
ロールプレイングゲームと言えば,ドラゴンクエストやファイナルファンタジーの様なテレビとゲーム機を使って遊ぶものを思い浮かべる人が多いと思います.
しかし,TRPGを遊ぶのに必要なものは紙と鉛筆,サイコロだけです.
(正確には+ルールブック)
TRPGは簡単に言ってしまえば,「ルールのあるごっこ遊び」です.
例えば,
『あなたは今,剣と魔法の世界で冒険者をしているとします.ギルドに行くと,モンスター退治のクエストが貼られており,あなたはそれを受けます.クエストの場所に行ってみるとそのモンスターと出会い,死闘の末そのモンスターを打ち倒してギルドに報酬を貰いに行き…』
といった流れを,複数人で会話をしながら想像の中で進めていくのです.
複数人で集まって会話で物語を進めながらごっこ遊びをする…
言ってしまえばそれだけなのですが,これがやってみるととても面白いです.
とは言っても,こんな説明だとピンとこない人も多いと思います.
では,具体的にTRPGとはどのようにして遊ぶのかを説明しましょう.
まず,TRPGはコンピューターと遊ぶのではなく人間同士で遊ぶゲームです.
なので,まずは一緒にTRPGを遊んでくれる人が必要です.
(人数は基本的に4~6人がベスト)
次に,遊ぶためのシステムを決めます.
TRPGにおけるシステムというのは,遊ぶためのルールをまとめたもののことを指します.
どのような世界観で,どのようなキャラクターとなってどのように遊ぶか,
といったことが全てこのシステムによって決まります.
例えば,「ソードワールド」というシステムならば,プレイヤーは剣と魔法の世界フォーセリアを舞台に人間やドワーフ,エルフの冒険者として世界を冒険することになります.
どのような世界で冒険したいかを選ぶのがシステム選びです.
テレビゲームに例えるなら,遊ぶソフトをどれにするか選ぶのと同じことです.
そのシステムで遊ぶためには,専用のルールブックを買う必要があります.
ルールブックには,そのシステムで冒険する世界の世界観や歴史,遊び方のルールなどが全部書かれています.
システムを決めたら,次にゲームマスターとプレイヤーを決めます.
ゲームマスター(GM)とは,今回の冒険でプレイヤー達がどのような冒険をするのかを決める人のことです.また,ゲームを通しての審判でもあります.
GMが決まったら,次にキャラクター作りをします.
ここでは,ルールブックに書かれているルールに従って,自分が冒険するためのキャラクターを作ります.自分のキャラクターの種族や性別,年齢や背景などをルールや世界観の範囲内で自由に決めていきます.
例えば,「世界最強になる為に生まれた村を飛び出した人間の男剣士」や「肌の色の違いから迫害されて森を追い出されたエルフの弓使い」などを自由に決めて作る訳です.
この時,そのキャラクターの能力値や特技なども決めます.(このあたりはシステムによってまちまちですが)
例えば,「男剣士のキャラは筋力と敏捷の値が高くて剣を使って戦うのが得意だが,知力の値が低いので魔法を使うのが苦手」とかを決めるわけです.
このあたりはシステムによって決められたルールに従って決めていくため,「剣も魔法を使えて全能力値カンストの最強キャラ」とかは作れません.(当然ですね)
全員のキャラクターが完成したら,いよいよTRPGの始まりです.
<後編に続く>
TRPG入門②TRPGとは?後編 - AmidaのTRPG研究所