TRPG入門②TRPGとは?後編
さて,前編でキャラ作成までが終わりました.
キャラ作成の後は,いよいよTRPGのシナリオの始まりです.
シナリオというのは,ゲームマスターが事前に用意しておいた,今回の冒険の内容のことを指します.
まず初めにどんなことが起こって,どんな敵が出てくるか,黒幕は誰か,などを全て事前に決めておいたものです.
例えば,
『プレイヤー達はゲーム開始時にとある街の酒場にたまたま居合わせていた.
どうやら,強力なモンスターが森に現れたらしく,高額な懸賞金がかけられているようだ.プレイヤーたちは協力して,このモンスターを討伐しにいくこととなる』
という導入でシナリオが始まると決めておいたとします.
ゲームマスターは,この導入をプレイヤーに説明し,実際にプレイヤー達にこのシーンを演じて貰います.
例えば,剣士のキャラクターが
「強力なモンスターか…俺の剣が通用するか試してみようか」
と呟き,隣に座っているエルフのキャラクターが,
「あなた何の情報や準備も無しに討伐に行く気?そのモンスターの情報を集めるほうが先だと思うけど」
と諫めて,盗賊のキャラクターが,
「面白そうな話だな,俺も一枚噛ませてくれよ」
と割り込んでくる…
このように,プレイヤーたちが自分のキャラクターを演じてシーンを作っていきます.
このようなロールプレイは,事前にどのような展開にするかプレイヤー同士で相談してからやったり,相談せずにその場のノリで演じたりします.
こういった自由なロールプレイが出来るというのがTRPGの醍醐味の一つです.
ただし,TRPGを始めたての頃は,とっさにこういったロールプレイが思いつかなかったり,そもそも恥ずかしくて思い切ったロールプレイが出来なかったりします.
そういった時は,あまり無理せず,他のキャラの話に相槌をうったり,自分もなんやかんやで仲間に入りました,という風に流してしまっても大丈夫です.
しかし,慣れてきたら積極的にロールプレイしていくことをオススメします.
さて,モンスター退治に行くことになった一行ですが,ここからのプレイヤーの行動は割と自由にすることができます.
何も考えずにモンスター討伐に出発することも出来ますし,武器や防具を揃えに行ったり,モンスターの情報を集めたり……
ゲームマスターが許可する限り,プレイヤーは自分の思いつく限り色々なことが出来ます.
例えば,シナリオでゲームマスターが事前に決めていた情報が以下の通りだったとします.
・モンスターは森の奥の洞窟を根城にしている.
・モンスターは固い甲羅に覆われているため,物理攻撃が通じにくい
・モンスターの弱点は,炎である.
・モンスターはピンチになると仲間を呼ぶ
しかし,これらの情報は一切プレイヤー達には開示されていません.
そこで,エルフのプレイヤーが,酒場で情報収集を行ったとします.
ここでどのような判定をするかは,遊んでいるシステムによって決められていたり,ゲームマスターが決めたりします.
エルフのプレイヤーが判定に成功し,情報をゲットしたとします.
この時,どの情報をどの程度開示するかなどは全てゲームマスターが決定します.
ここでは,「モンスターの弱点は炎のようだ」という情報を手に入れたとしましょう.
ここで,盗賊のプレイヤーが,油と布と木の棒を組み合わせて松明を作ろう,と提案したとします.こういったプレイヤーからの提案を受けたときは,ゲームマスターがその行動を許可するか,可能か,それがどのような効果を及ぼすか,を決定します.今回は,素材がすぐ手に入りそうなので許可,松明を作成するために<工作>の判定に成功すること,松明を持っているとモンスターとの戦いで有利になる,という裁定を下したとします.このように,ゲームマスターが想定していなかった行動でも,ゲームマスターが許可をすれば行うことができます.
しかし,剣士のプレイヤーが,森を焼き払ってしまえばモンスターも倒せるのでは,と提案したとします.確かに,準備をして火を付ければ,森を焼き払ってしまうのは可能かもしれません.しかし,そんなことをすれば,報酬を貰うどころかむしろ犯罪者になってしまいそうですし,そもそもそこでシナリオが終わってしまい,台無しになってしまいます.このような無茶な提案をゲームマスターは一方的に却下できます.
そもそも楽しむためにゲームをやっているのだから,それを台無しにするような提案は通らない,ということですね.
さて,この後も情報を集め,準備も万端にして,いよいよモンスター討伐に出発したとします.
ここでもゲームマスターは,シナリオに決めていたようにイベントを起こしたりすることが出来ます.
例えば,同じモンスターを狙う冒険者の一団が現れて,「そのモンスターに手を出したらただじゃおかないからな」と脅しに来たりといったイベントが起きたとします.
プレイヤー達は,ロールプレイでこの場を乗り切ったり,戦闘に突入して叩きのめしたりといった行動を,やはりゲームマスターが許可する限り自由に行えます.
このようにして,イベントを切り抜け,いよいよモンスターとの最終決戦に突入,死闘の末,なんとかモンスターを討伐することが出来たので,今回のシナリオは終了しました.
このようなのが,TRPGのシナリオの流れとなります.
一貫して言えるのは,「ゲームマスターとシステムが許す限りプレイヤーは何をしてもよい」というところですね.
ここが,TRPGと普通のテレビゲームの最大の違いです.テレビゲームではあらかじめ決められた行動しか取れませんが,TRPGでは,思いついた色々な行動やロールプレイが出来ます.こういった,話の展開がどう転ぶか分からない,というのがTRPGの最大の魅力だと思います.
「TRPG」というものが何か,という大まかな説明は以上になります.
最後に,勘違いしてほしくないのですが,TRPGはプレイヤーVSゲームマスターといった構造の対決ゲームでは決してありません.ゲームマスターは,あくまでプレイを円滑に進めるための審判であり,話の大筋や敵キャラを操作するだけで,あくまで目的は「みんなでゲームを楽しむこと」です.シナリオがどのような結末になったとしても,全員が楽しめたのならばそのシナリオは大成功だったということになります.
それだけを心の隅に置いておけば大丈夫です.