システム紹介:アジアンパンクTRPG「サタスペ」
今回紹介するシステムは『サタスペ』です.
サタスペは,冒険企画局が出しているTRPGのシステムで,簡単に言うと
「なんでもありのカオスな世界観でチンピラ(何でも屋)になって好き放題暴れる」システムです.
盗み,殺人,強盗,恐喝……取れる手段はなんでも駆使してこの街を生き抜け!
って感じです.
世界観:
サタスペの世界観は一言で言うとカオスです.
舞台となるのは第二次世界大戦でドイツが勝利した世界,日本という国は消滅し列島は大国に切り分けられています.そんな中残った近畿地方の都市「オオサカ」は国連預かりとなり事実上の空白地帯に,結果オオサカは世界最大の貿易都市かつ犯罪都市となりました.オオサカでは銃声や爆発音は全て日常,宇宙人に連れ去られたり巨大怪獣に踏みつぶされるのも日常です.
とまあ,ざっと見ただけで世界観がどれだけカオスか分かってもらえたと思います.
プレイヤーはこのカオスな都市オオサカで生き抜いていかなければいけません.
概要:
プレイヤーは,オオサカで活動している「亜侠」として目的を達成するために動くことになります.
亜狭というのは,いわゆる何でも屋です.チンピラ以上侠客未満,なので亜侠と呼ばれており,表では別の仕事をしつつ裏で依頼されれば何でもやる便利屋としてオオサカで活動しています.
プレイヤーはこの亜侠となって,基本的に依頼主から依頼を受ける→依頼解決という形でシナリオを進めていくことになります.
キャラ作成:
プレイヤー達は亜侠となる訳ですが,基本的に亜侠は4~6人程のチームで活動しています.チーム内にはそれぞれ役割があり,プレイヤーはまずその役割の中から好きなものを1つ選びます.(これを宿業-チームカルマと呼びます)
宿業は全部で6つあり,
チームの司令塔となる「リーダー」
ブレインとして裏から手助けする「参謀」
得意分野を極める「技術屋」
戦闘を一手に引き受ける「荒事屋」
報酬や出費を管理する「マネージャー」
敵味方ともにかき乱す「道化師」
この中から1つ選んで自分の宿業とします.
宿業にはそれぞれ「異能」と「代償」が設定されています.
異能は亜侠が使用できるスキルのようなもので,様々な便利な効果を発揮します.
逆に代償は特定の状況で亜侠にデメリットを発生させます.
宿業を選んだら,プレイヤーの名前や能力値,性業値,趣味や所持品などを決定して完成です.
面倒なデータ組みなどをする必要はないため,サタスペのキャラ作成はとても簡単です.何より,サタスペには大量の「ランダム表」が付いています.
サタスペには名前,性別,趣味,見た目などをランダムに決定するための表が付いており,これに従ってサイコロを振るだけでカオスなキャラクターを誕生させることが出来ます.
もちろん自分でキャラの設定を考えてもよいのですが,なにぶんカオスな世界観,その世界観に合ったカオスなキャラクターを作成するのにぴったりなのがこのランダム表です.初めてサタスペを遊ぶ時にはぜひこのランダム表を使ってキャラ作成することをオススメします.
特徴:
サタスペのシナリオは基本的にサイクル制で進行します.
サイクル制というのは,ある一定の時間で区切ってプレイヤー達が順次行動していくという者です.
具体的には,サタスペでは一日を早朝,朝,昼,夜,深夜の5サイクルに分け,プレイヤー達は1サイクルに全員1回ずつ何かしらの行動を行うことが出来ます.
サタスペの特徴としては,このサイクルごとに行える行動が非常に多いということです.
例えば,子供をさらわれた父親が「誘拐犯を見つけて子供を取り返してくれ」という依頼をしてくるシナリオだったとします.
当然プレイヤー達は誘拐犯たちについて情報収集をしてアジトに乗り込んでいく必要がある訳ですが,このようなシナリオを進める以外にも様々な行動が行えます.
例えば,武器や乗り物を調達するために銀行強盗を行って資金を調達したり,買ってきたドラッグをキメてハイになったり,恋人と「ご休憩」して英気を養ったり……とまあ割とやりたい放題できます.
判定について:
サタスペの判定では,6面ダイスを2個使用します.
判定時は,2d6を指定された回数振り,難易度以上の出目が出た回数がその判定の「成功度」となります.
例えば,「犯罪:難易度7 必要成功度2」という判定を犯罪5のキャラクターが行う場合,2d6を5回振って7以上の出目が2回出れば成功,となります.
この際,1ゾロを出してしまうと「ファンブル」となってしまいます.
ファンブルでは,判定が失敗してしまうだけでなく,状況に応じた「ファンブル表」を振って効果を適用しなくてはいけません.
「とりあえずダメもとで判定してみよう」などと言って判定したら痛い目に合ったりします.
プレイ感:
サタスペは,世界観全てがカオスである意味あまり現実味がない舞台です.
システムとして,麻薬,性,暴力,犯罪描写が前面に押し出されていますが,そんな現実離れした世界観なので割と割り切ってプレイすることが出来ます.
そのような世界で好き放題できるこのサタスペのカオス感は,一度プレイしないとなかなか分からないと思います.
人によって合う合わないはありますが,個人的にはとても好きなシステムの一つです.
長短所:
長所……
・現実離れした世界で好き放題に犯罪行為が行える.
字面だけ見るとアブナイ人みたいですが,普段やれないようなことをするのがTRPGです.犯罪行為に限らず,割とやりたい放題出来る面白いシステムだと思います.
・キャラ作成が楽
指定された項目を埋めていくだけでキャラクターが完成するため,キャラ作成は非常に簡単です.おまけにランダム表まで完備しているので,初心者にもキャラ作成はすぐに出来るでしょう.
短所……
・独特な世界観が合わない場合向いていない
どのTRPGにも言えることですが,世界観が合わないとこのシステムには向いていません.特にサタスペは独特な世界観故に好き嫌いが別れやすいシステムだと思います.
・1回の判定が長くなりがち
判定自体は分かりやすいのですが,1回の判定で複数回ダイスを振るため,判定ごとにかかる時間は長くなりがちです.戦闘時は特に顕著で,キャラクターが攻撃して相手が回避する判定,ダメージを軽減する判定…とやっていると一連の流れで2d6を20回ほど振ることもザラです.これがキャラが行動するたびに発生するので割と判定が冗長になりがちだったりします.
サタスペを始めとした冒険企画局のTRPGは,他とは一線を隔する独特の雰囲気を持っています.ハマる人はとことんハマるので,一度プレイしてみてはいかがでしょうか.