システム紹介:ダブルクロス The 3rd edition
今回紹介するシステムは,『ダブルクロス』です.
TRPGの制作会社,F.E.A.R.さんが出しているシステムの一つで,簡単に言うと,
『現代日本で超能力異能バトルアクションをする』システムです.
現代日本の裏で暗躍する超能力者たちが,日常を守るために非日常の戦いに身を投じていく……そんなシステムとなります.
世界観:
ダブルクロスの舞台となるのは,現代日本です.
たった一つ違うのは,レネゲイドウィルスというウィルスが存在しているということ.
約20年前に,とある遺跡で解き放たれてしまったレネゲイドウィルス……
これに感染した者は,自らの理性を蝕まれる代わりに物理法則を超越した超能力が使えるようになります.
世間にはこのレネゲイドウィルスの存在は隠されており,世界の裏側ではこのレネゲイドウィルスを悪用しようとする者と,人々を守ろうとする者の間で,激しい戦いが繰り広げられている…
という世界観になります.
概要:
プレイヤーは,レネゲイドウィルスに感染して超能力者を扱えるようになった存在…
通称『オーヴァード』となって日常の裏で戦うことになります.
オーヴァードは,様々な異能を使いこなすことが出来,その異能には大きく個人差があります.あるものは炎や氷を操り,あるものは化け物に変身する能力を身に付け……
しかし,共通して言えるのは,異能を使う代償に自らの理性を差し出しているということです.異能を使うごとにレネゲイドウィルスに浸食され,完全に理性を喰らいつくされると,理性なく力を振るい人々を脅かす存在…『ジャ―ム』となってしまいます.
そのような『ジャ―ム』の脅威から人々を守るために結成されたのが,正義のオーヴァード達で構成された秘密組織『UGN(ユニバーサル・ガーディアン・ネットワーク)』です.自らの異能を使ってジャ―ムの脅威から一般人を守る……世間一般には全く認知されていない秘密組織ですが,世界中に多数の支部を持ち,優秀なオーヴァードを多数抱えています.
しかし,オーヴァードも当然正義の味方ばかりではありません.その力を悪用して世界を害したり,自らの欲望を叶えようとするオーヴァードも多くいます.そんなオーヴァード達の悪の組織が『FH(ファルスハーツ)』です.FHは日々UGNと激しい戦いを繰り広げています.
キャラ作成:
プレイヤー達はオーヴァードとなるわけですが,どのような超能力を使えるかは,個人差があります.それらの能力は,『シンドローム』と呼ばれる大まかな系統で分けられています.例えば,炎や氷を操るオーヴァードは「サラマンダーシンドローム」,怪物に変化するオーヴァードは「キュマイラシンドローム」と呼ばれます.プレイヤーは,自分のキャラが,どのような能力を持っているかを,このシンドロームを選んで決めます.シンドロームは,合計で13種類あります.この中から,1~3つのシンドロームを組わせて自分のキャラの能力を決めます.
そう,1つではなく,最大3つのシンドロームを組み合わせることが出来るのが特徴です.例えば,電撃と炎,氷を同時に操る能力者や,重力を操り動きを止めてから怪物に変身して殴る…なんてことも出来ます.ただし,1つに特化するとそのシンドロームにおいてはとてつもない力を発揮したりと一長一短です.
そうやってシンドロームを決定したら,細かい能力を決めます.
ルールブックには,シンドロームごとに取得できる特技が設定されています.
単純に敵に与えるダメージを増やしたり,空を飛んだり……
このような特技を決められた数取得することでキャラクターのゲーム的な能力を決定します.
最後に,キャラクターの名前や設定を決めたらキャラクターの完成となります.
特徴:
ダブルクロスは,シーン制で進みます.
シーン制とは,オープニング,ミドルフェイズ1,ミドルフェイズ2…といった形で話が一区切り着くごとに一旦シーンを切って場面を転換させていく,というのを繰り返していく進め方のことを指します.
その時その時のシーンに自分のキャラを登場させるかどうかは,基本プレイヤーの自由です.(もちろんシナリオの都合で絶対でなければいけないシーンや,逆に出ることが出来ないシーンもあります.そこはGM次第です)
シーンに登場すると,キャラクターの「浸食値」が増加します.
浸食値とは,キャラクターがレネゲイドにどの程度浸食されているか…を示す値になります.今回のようにシーンに登場したり,特技を使用する度に増加していきます.
この値が増えると,レネゲイドに馴染み,キャラクターが強くなります.しかし,高ければよいというものでもありません.シナリオ終了時にこの値が100を超えていた場合,そのキャラクターはジャ―ムへと変貌,つまりキャラロストしてしまいます.
この浸食値を下げる方法が,『ロイス』を使うことです.
『ロイス』とは,浸食値と並んでこのシステムの肝となるもので,キャラクターの持っている『絆』のことです.キャラクターは,守るべき恋人や倒すべき敵,背中を預けられる仲間,などの特別な感情を持っている対象に対して『ロイス』を取得することが出来ます.ロイスは,そのロイスの「対象」と,「感情」で構成されています.
例えば,
『恋人:愛情/不安』
といった形でロイスを取得できます.このロイスは,GMに申告して許可が出れば,プレイヤー一人につき7つまで取得することが出来ます.
この「ロイス」は,セッション終了まで持っていると一つにつき一個10面ダイスを振り,出た目の分だけ浸食値を下げることが出来ます.要は,絆の力で理性を取り戻し,踏みとどまこるとが出来る…という訳ですね.
逆に,このロイスは,対象への感情を劇的に変えることで『タイタス』というものに変化させることが出来ます.このロイスをタイタスに変更するのもプレイヤーはいつでも行えます.このタイタスは,戦闘における切り札となります.戦闘不能から復活したり,自分の攻撃のダメージを増加させたり……
つまり,「あいつのためにまだ倒れるわけにはいかないんだ!」とか,「死んでいった者たちの思いをこの拳に乗せる!」みたいなことが出来ます.
タイタスにしてしまったロイスは,浸食値の減少には使えないので,帰ってこられるギリギリのラインを見極める……というのがこのシステムの肝となります.
判定について:
このゲームの行為判定の方法は少々ややこしいです.
まず,このゲームで使用するダイスは10面ダイスです.
この10面ダイスを指定された数だけ振り,振った中で最大の出目が達成値をなります.
例えば,3つ振ったとして,「2,5,8」と出れば,達成値は8となります.
ただし,出目の中に10があった場合,10の出たダイスを振りなおして,その出目に+10を足したものが達成値となります.
例えば,「2,8,10」と出た場合,10のダイスを振りなおして「6」と出たとします.
この場合は達成値が16となります.
TRPGの中では割とややこしい判定方法かもしれません.
プレイ感:
ダブルクロスは,判定の複雑さを除けば,特に難しいことを考える必要もなく,現れた敵を超能力でバッタバッタとなぎ倒していけばよいので,初心者にも勧められるシステムだと思います.
シンドロームを複数組み合わせることで,大抵の能力は再現することが可能で,様々な演出をして楽しむことが出来ます.
童心に帰って中二病全開でプレイしていくのが,このゲームの楽しさだと思っています.
長短所:
長所……
・中二病全開で異能バトルアクションを楽しめる
・振り切ってしまえばロールプレイもしやすく,シナリオ構造も複雑になりにくいので割と初心者向け
短所……
・キャラ作成時のデータ組みにそこそこ時間がかかる
・推理やとんちで場を切り抜けたりといった要素は少ない
・判定方法や戦闘システムが少々複雑
・10面ダイスを大量に用意する必要あり
ダブルクロスを始めとしたF.E.A.Rゲーは数も多く,楽しめるものが多いです.
戦闘システムも,最初は多少戸惑うかもしれませんがF.E.A.Rゲー同士で共通していることが多く,一度覚えてしまえば大体のF.E.A.Rゲーで使えます.
たまには,中二心全開で超能力をぶっ放す,ダブルクロスを遊んでみてはいかがでしょうか